2017年9月14日木曜日

イスタンブルから〜犠牲祭・クルバンバイラム初日のブランチ〜


2017年9月1日から4日までは、イスラム教のクルバンバイラム(kurban bayramı:犠牲祭)でした。

以前のブログで、断食月明けのシェケルバイラム(şeker bayramı:砂糖祭り)について書きましたが、イスラム教ではこの二つが、二大行事です。日本でいうと、お盆とお正月のようなものです。

この犠牲祭は、イスラム暦12番目の月の10日から4日間です。アッラーに羊や山羊や牛など、四つ足の動物を生け贄とし、神に感謝の気持ちを捧げます。また、その肉は1/3ずつに分けられ、貧しい人たち、ご近所さんなどに配られます。残りの1/3は家族で頂きます。私もイスタンブルに住んでいたころ、犠牲祭にどこにも行かずにいる時には、ご近所さんがお肉を持ってきてくれました。

今年のクルバンバイラム初日に、親しくしているご夫婦の弟さんご家族のブランチに、私も招待され一緒に行きました。シェケルバイラムの時と同じように、バイラム初日の朝ご飯(またはブランチ)は、とても大切で家族や近しい人と共に頂きます。

その日、弟さんは早朝にイスタンブルからヤロヴァ(Yalova:マルマラ海の南東にあり、イスタンブルから93キロほどで、車で1時間40分ぐらいかかります)まで行き、そこで羊を屠り、その肉を配り戻って来られたそうです。

バイラムのブランチ(朝ご飯)は、いつもよりご豪華です。何種類ものチーズ、オリーブ、サラダ、卵、ボレキ(börek:春巻きのような皮を何層にも重ねて、中にほうれん草やチーズ、ポテトなどを入れて焼く)、シガラボレイ(sigara böreği;春巻きのような皮にチーズを巻いて、揚げたもの)、パプリカの中にチーズを詰めたもの、フライドポテト、自家
サラダ、チーズ、オリーブ、パプリカの詰め物、ピーナツバター
製のピーナッツバターとジャム、カイマック(kaymak:牛乳の脂肪分でクロデットクリームのようなもの)などが次々にテーブルに並びました。
 カイマックとチェリージャム


ポテトのボレキとシガラボレイ
                                                                                                          

そして持って帰った羊のお肉も登場します。これを感謝して、有り難くいただきます。場所があれば、昼からマンガル(バーベキュー)をして焼いて食べることも多いですが、イスタンブルの町中の家では、無理です。
羊のお肉をソテーしたもの
たくさんのご馳走をいただき、その後もトルココーヒーや果物が出て来てお腹が一杯になり過ぎたので、辺りを散歩することになりました。
日本では珍しい桑の実
数時間歩きカフェで休憩し、またそこでもデザートを食べ、家に戻りました。さてでは、遅くなったので、お暇をと思っていたら「晩ご飯を食べてからじゃないと帰さないわよ」と言われ、眼が点になりました。まだお腹が空いていません。

押し問答の末、どうしてもということで頂くことになりました。また、どんどんと料理がテーブルに並び始めます。前の日から用意してくださっていたようです。
 最初に、トマトスープをいただき、この段階でお腹一杯に… でも、まだまだ続きます。
トマトスープには溶けるチーズをいれます
作るのがとても面倒なイチリキョフテ

インゲン豆の一種をトマトとオリーブオイルで煮たもの

ドルマと羊のレバーのソテー

食事の前に「クルバンバイラムのお肉は、皆で頂いてこそ意味があるのよ。ちゃんと食べて感謝しなくちゃ」と、何度も耳にしました。

そして運ばれてきたのが、羊のレバーソテー。「こんな新鮮なレバーは、なかなか口にできないから、たくさん食べて」と言われ、フォークをのばしました。私は、基本的に内蔵系も好きで美味しく食べますが、このレバーを口に入れ、噛んだ瞬間に臭いが鼻に抜け、一瞬ウッとなりました。新鮮なのに、何故臭いが… トルコでいろんな場所でレバーを食べましたが、こんなに臭いがしたのは初めてです。臭いで食べられないと思ったものは、子供の頃に食べた鮒寿司に次ぐものでした。

「どうしよう… 食べられない」でも、食事の前に何度も聞いた言葉が、耳から離れません。生魚が食べられないトルコの友人が、日本に来て知り合いの家で出されたお寿司を必死になって飲み込んだという話を思い出しました。

「どうしよう…残そうか…いや、失礼だわ。食べなければ。でも、どういう方法で食べられるか…」必死で考えました。「小さく切って、レモンとザクロ酢を一杯かけて、鼻から息を吸わないで、少し噛んで飲み込もう」そう決心してお皿にあった、二かけのレバーを食べました。

やっと食べ終わると、もっとどうぞと言われましたが、さすがに食べられません。もうお腹も一杯で、何も口にできない状態でした。その後も出て来たデザートは、どう考えてもお腹に入る余地はありませんでした。残念ですが…
手作りのデザート
食事が終った時点で、夜更けに近い時間になり、帰る間際には残ったドルマやイチリキョフテなどをどっさりお土産にいただき岐路に着きました。

食べ続けた一日でしたが、こうしてシェケルバイラムやクルバンバイラムに、家族や親しい人たちと一緒に過ごすことは大切な意味があると思いました。失ってはいけない貴重な時間です。そんな集まりに呼んでもらい、トルコの人たちの暖かさにふれた一日でした。

2017年9月9日土曜日

イスタンブルから〜トルコのバーベキューの様子〜

トルコに来ています。9月のブログは、イスタンブルからご紹介したいと思います。
 第一回は、トルコのピクニックです。

ト ルコの人はピクニックが大好きです。日本のピクニックといえば、おにぎりやサンドイッチを作って、外で食べることを思い浮かべると思います。でも、トルコ ではピクニック、イコール、マンガル(バーベキュー)です。みんないとも簡単に用意して出かけるので、至る所でマンガルをしている光景を見ます。「ここで はバーベキュ禁止」と書かれている看板の下でも煙をモクモクさせて、平気でバーベキューをしている人たちがいます。以前、真冬のスキー場で見かけたときに は、驚いたものです。

私たちもタシュデレンという森(Taşdelen ormanı)へ、ピクニックに出かけました。その様子をご紹介します。

ピクニックには各自、いろんなものを用意して行きます。
朝ご飯を食べて来ていない人たちは、お肉を焼く前に、まず軽く朝食をとるので、朝ご飯も持参です。
焼きたてのスィミット(simit:胡麻のついたリングのパン) は、チーズやオリーブのペーストととてもよく合い、美味しいです。

それから、マンガル(バーベキュー)が始まります。 炭をおこすと、先ず付け合わせにするパプリカや、サラダに入れる茄子を焼きます。火が強いうちに野菜を焼いた方がいいそうです。
タマネギなどは、後からお肉と一緒に焼いていました。火がきつすぎると焦げてしまうからでしょう。
焼いて焦げ目のついたパプリカや、茄子はビニール袋の中にいれておくと、後で簡単に皮がむけると聞きました。
日本に帰って、焼き茄子を作る時に試してみたいと思います。



サラダは、家で作ってもって行かずに、その場で作ります。今回のサラダは、トマト、キュウリ、タマネギ、シシトウに焼き茄子を入れて、オリーブオイルとレモンを かけたものでした。焼き茄子の入ったサラダは、とても美味しいです。


余談ですが、皆が働いている間でも、優雅にタヴラ(tavla:バックギャモン)をしている人もいますが、誰もとがめません。
このタヴラは、相手の駒を取ることより、自分が先に逃げることを考える人と、どんなにリスクがあっても相手の駒を取ることを優先する人がいて、性格がよく分かります。私も以前は、タヴラをしていましたが、すっかりルールを忘れてしまいました。

さて、お肉が焼き始められます。炭をおこして焼くのは、往々にして最年長の男性の役目のようです。日本で言うと、鍋奉行でしょうか。
お肉は、牛肉や、ラム、チキン、そしてキョフテという小さいハンバーグなど、お好みにより様々です。
私たちは、ラムチョップと牛肉、そしてミニハンバーグのキョフテを食べました。炭で焼いたお肉の味は格別です。 ピデエクメック(円盤形のパン)やラヴァッシュ(薄いトルティーヤのようなパン)に包んで頂きます。トルコに来てよかったと思える瞬間です。
ラムチョップと牛肉そして、ピデエクメックとラヴァッシュ
ミニハンバーグのキョフテ(Köfte)
食 事が終ると、チャイ(紅茶)が始まります。プラスチックのコップではなく、家からちゃんとガラスの紅茶のコップを持ってきています。それも、いろんな大きさのコップがあります。人によってそれぞれ、チャイを飲むときに、好みのの大きさがあるからです。チャイ好きなトルコの人ならではの、気遣いだと思いま す。
写真に写っているポットは、チャイダンルック(çaydanlık)といい、下の大きな方でお湯を沸かし、上の小さなポットに、紅茶とお湯を入れて蒸らします。上の紅茶は、とても濃いので下のお湯で割って飲みます。


チャイのおともは、チェキルデッキ(çekirdek:南瓜やヒマワリの種)です。 この種をトルコの人は、リスのように上手に食べます。
私は、ヒマワリの種の食べ方をトルコに行った最初の年に、車の中で5時間も、練習させられました。そのお陰で、今ではすっかり早く食べられるようになり、トルコに来ると、必ず買って帰ります。
殻の先の方から、3回軽く噛んで、中の種を舌で取り出します。チェキルデッキを食べていると、チッチッチと3回噛む音がします。
この音が耳障りだということで、長旅のおともで退屈しのぎにもなるチェキルデッキは、長距離バスの中で禁止されてしまったと聞きました。

話がそれました。ピクニックに戻しましょう。すっかりお腹が一杯になったら、バレーボールやトランプなどで大人も子供も一緒に遊びます。

トルコのマンガル(バーベキュー)は、日本のように特別に力を入れてするものではなく、トルコの人たちの日常生活の一部になっているものです。そしてイスタンブルには、都会の真ん中にでも、このように新鮮な空気が一杯の緑豊かな場所がたくさんあります。羨ましいです。

2017年9月2日土曜日

モロッコインゲンのトマト煮込み・ターゼ ファスリエ〜夏の香りがたっぶり〜


今回は、ターゼ・ファスリエ(taze fasulye: モロッコインゲンのトマト煮込み)のレシピをご紹介します。

トルコに住んでいたころ、自炊するのが億劫なくらい疲れているときなど、ごくたまに、どこの街角にもあるロカンタと呼ばれる大衆食堂で、晩ご飯になりそうなお惣菜をいくつかテイクアウトして帰ることがありました。そんな時には、必ず加えるのが、このターゼ・ファスリエでした。

このトルコ語でファスリエとは、インゲン豆のことです。このインゲン豆を使った料理には、代表的なものとして「ターゼ・ファスリエ」と「クル・ファスリエ」があります。

ターゼ・ファスリエは、フレッシュなインゲン豆、つまり豆がまだとても小さくて鞘に入った状態の、日本ではモロッコインゲンと呼ばれているインゲン豆を使った料理です。

一方、クル・ファスリエというのは、鞘の中で大きく育ったインゲン豆を使って作る料理です。クル(kuru)というのは、ドライ、つまり乾いたという意味で、乾燥インゲン豆のことです。その乾燥インゲン豆のトマト煮込みのことを、クル・ファスリエと呼びます。でも、このレシピは、また別の機会に…。

ターゼ・ファスリエには、空豆がまだとても小さく若い頃に、鞘ごとオリーブオイルを使って炊いた冷菜もあります。このように、ターゼ・ファスリエは、ところ変われば使う材料も変わります。

さてでは、今回は、そのターゼ・ファスリエの代表的なレシピを一つご紹介します。この料理も冷たくしていただくので、砂糖を少し加えます.

ターゼ ファスリエ
材料
モロッコインゲン
トマト
タマネギ
ニンニク
オリーブオイル
砂糖

 1)モロッコインゲンの両端を落し、適当な大きさに切ります。
2)トマトの皮を剥きますが、湯向きせずに、直火にかけます。
包丁のアゴの部分で、薄く十字に切れ込みをいれます。



 フォークをトマトのヘタに刺し、直接火でクルクルと全体を回し焙ります。 





 皮が少しめくれてくると火を止めます。
 皮が簡単に剥けます。

 3)トマトを刻みます。
 4)タマネギとニンニクも刻みます。
 5)オリーブオイルで、タマネギとニンニクを炒めます。
 6)モロッコインゲンも加えて炒めます。
7)モロッコインゲンに火が通ったら、トマトを加えて混ぜます。
砂糖、塩を加え、蓋をして煮込みます。
トマトがフレッシュでない場合には、少しだけ熱湯を加えても大丈夫です。
汁気が少なくなるまで煮込みます。

出来上がり!
 レモンを添えて召し上がれ。冷やした白ワインによく合います。

2017年8月29日火曜日

お坊さんが気絶するほど美味しい料理のレシピ〜夏の食材王、茄子料理〜


 今回は茄子料理です。

トルコでは、夏の料理の王様は茄子料理だと言われています。日本の関西、神戸近郊では、家々から、イカナゴの釘煮(イカナゴという魚の稚魚の佃煮)を炊いている匂いが漂って来ると、春の到来を感じます。それと同じように、茄子を揚げた匂いが漂ってくると、トルコでは夏を感じるそうです。

この茄子料理には、色々な料理があります。素揚げはもちろん、揚げてトマトソースで和えたもの、焼き茄子のペーストにホワイトソースとチーズを加えたベーンディ(beğendi)、茄子のケバブ、 茄子のピラフ、はたまた茄子ジャムや茄子のデザートまであり、数えたらきりがありません。日本で私たちが、知っている茄子料理では想像できません。

このブログでは、前回の「トルコ料理を楽しむ会」で好評だった茄子料理、イマム バユルドゥ(imam bayıldı:お坊さんの気絶)のレシピをご紹介したいと思います。

この料理の名前は、日本語で「お坊さんの気絶」です。すごいネーミングだと思います。名前に使われているイマム(imam)という言葉は、トルコ語ー日本語辞書に「信徒指導者、導師、イスラム僧、イスラム教国の首長」と書かれています。トルコ語ートルコ語辞書には、その他に「予言者ムハンマドの後、彼の任務を引き受けるカリフへの称号」と書いてあります。そんな色んな意味を持つイマムという言葉を「お坊さん」と訳すのには、軽々しい気もしますが、他にどんな訳があるかというと、頭を悩ませます。

話がそれてしまいました。この料理の名前の由来は「食いしん坊のお坊さんが、これを食べてあまりの美味しさに気絶した」や「とてもケチなお坊さんが、この料理を作る時に使われているオリーブオイルの量を見て、その多さに気絶した」などと言われています。(Artun ÜNSAL 'İstanbul'un Lezzet Tarihi

でも、気絶するのは、熱いオリーブオイルに入れられる茄子ではないでしょうか。
 
さて、そのお坊さんが気絶するほど、美味しい料理のレシピをご紹介します。本来なら、茄子は先ず、素揚げしますが、私は素揚げせず先に電子レンジで蒸してから作ります。

イマム バユルドゥ
材料
小振りの茄子
タマネギ
トマト
ニンニク
イタリアンパセリ(なければパセリ)
シシトウ
砂糖
塩、胡椒
オリーブオイル
熱湯

 1)タマネギを半分に切り、繊維にそって薄くスライスします。



 2)シシトウは、タネを取り、縦に切ります。




 3)トマトの皮をむきます。
 湯向きするより、直接火で焙ります。
 包丁のアゴの部分で、薄く十字に切れ込みをいれます。


   



  
フォークをトマトのヘタに刺し、直接火でクルクルと全体を回し焙ります。                      
皮が少しめくれてくると火を止めます。




皮が簡単に剥けます。




 4)トマトを刻みます。




 5)多目のニンニクを刻み、まずタマネギとニンニクをたっぷりのオリーブオイルで炒めます。
そこにシシトウを加えて、炒めてからトマトも加えて炒めます。砂糖、塩胡椒で味付けします。



 6)イタリアンパセリをみじん切りにします。




 7)炒めた野菜に、みじん切りにしたイタリアンパセリを混ぜます。これで茄子に詰める野菜は完成です。



 8)茄子に切れ込みを入れます。
 9)切れ込みを入れた茄子を水につけてアク抜きをします。




 10)茄子をレンジで蒸して柔らかくします。




 11)フライパンに6)で刻んで、余ったイタリアンパセリの茎を敷きます。茄子がフライパンにくっつかないためです。



 12)フライパンに茄子を並べ、茄子の切れ込みにスプーンの腹を入れ、両サイドに中身を押して広げていきます。

 
 13)広げた茄子の間に、炒めた野菜を詰めます。




 14)熱湯を注ぎます。
 15)オリーブオイルを多目に注ぎ、蓋をして炊きます。




  出来上がり!

  冷菜として召し上がれ。