北信から、みずみずしい高原野菜の便りが届いた。箱を開けた瞬間に「この最高の素材を活かすなら、やはりトルコ料理をおいて他にはない」と心が躍った。
前回のブログで「第6回」の様子を綴ったばかりだが、この季節ならではの贅沢な味覚を前に、じっとしてはいられなくなった。採れたての高原野菜を主役に迎えて「第7回トルコ料理の夕べ」のテーブルを整えるとしよう。
今夜お迎えしたのは、同じ問いに向き合う私から見ても、そのテーマをより深く探求されている尊敬すべき研究者の皆さん。おかげで、食卓は「多文化共生」や「多言語主義」を語り合う、濃密な時間となった。
そんな知的な熱気に包まれるなか、まずは前菜の登場だ。
瑞々しい緑が映えるモロッコインゲンのトマト煮込み「taze fasulye(ターゼファスリエ)」。そして、ズッキーニで作る、まるでトルコ風の小さいお好み焼きのような「mücver(ムジュヴェル)」。そして、前回に引き続きお目見えする、定番のパプリカのマリネ「Köz biber(キョズ・ビベル)」の3品。
ムジュヴェルに欠かせないトルコの低脂肪チーズは、同じものが日本では手に入らないため、カッテージチーズで代用することにした。ズッキーニの瑞々しさとチーズのコクが重なり、本場の味に負けない仕上がりになった。 ここへさらに水切りヨーグルトを添えると、美味しさが一段とアップ。さっぱりとした酸味とコクが絶妙にマッチして、いくらでも食べられてしまう。
そして、写真の下で顔をのぞかせている黒オリーブは、大切なトルコ土産。一粒口に含むだけで、一気に現地の食卓の記憶が蘇り、北信の高原野菜たちをしっかりとトルコの味へと引き締めてくれる。
サラダには、夏にぴったりの「Gavurdağı salatası(ギャヴルダール・サラタス)」を用意した。きゅうり、トマト、ピーマン、玉ねぎをみじん切りにし、トルコ産の濃厚なザクロ酢のフルーティーな酸味、ドライミントの清涼感、そして赤しそに似た風味を持つスマックをアクセントに加える。器の底にじんわりと染み出した野菜の旨味たっぷりの水分ごと、スプーンで豪快に口へと運ぶ。一口ごとに体が喜ぶ味だ、としみじみ実感してしまう。
メインを飾るのは、ピーマンとズッキーニの詰め物「Dolma(ドルマ)」。トルコではドルマ用によく売られている丸いピーマンだが、日本のピーマンは先が尖っていて鍋の中で立たないのが難点だった。
そこで大活躍したのが、北信のピリ辛ピーマン「ぼたん胡椒(ぼたごしょう)」。丸くて座りがいいだけでなく、このピリッとした辛みがドルマに驚くほどよく合う。
これにも、本場にならって水切りヨーグルトを添えていただく。お肉の旨みに爽やかな酸味が重なって、ぼたん胡椒の辛みもまろやかに引き立ち、ぐっと本場のスタイルに近づく。
ちなみに、ズッキーニをくり抜いた中身は捨てずに、前菜の「ムジュヴェル(お好み焼き)」へと大変身。信州の豊かな実りを、余すところなく丸ごと味わい尽くすメニューとなった。
宴の締めくくりとなるデザートは、ゲストが差し入れてくれたバラエティ豊かなチーズケーキたち。それぞれを少しずつ、贅沢に全種類お皿に並べる。ワインにも驚くほどよく合い、あっという間に完食。
北信の土壌が育んだ日本の高原野菜が、トルコの豊かな食の工夫と出会い、新しい美味しさへと生まれ変わる。まさに私たちが最初から熱く語り合っていた「多文化共生」のあるべき姿が、今夜の食卓そのものに体現されていたのかもしれない。
深く知的な刺激と笑い声に満ちた、素晴らしい第7回の夜となった。
次の「第8回」が開催される頃には、季節はどのように移り変わっているだろう。その時また、この食卓からどんな新しい対話や出会いが生まれるのか、今から楽しみにしている。
Afiyet olsun! 




