亡くなった人への祈りを促すスイーツスタンド ハユル・ロクマス(Hayır Lokuması) |
会ってもすぐには言葉が出ず、ただギュッと強くハグした。私が何を言いたかったのか、彼女には伝わったと思う。来てよかった。
数日後その場所から、私たちはあることのため車で、地中海の町フィニケへと移動することになった。その途中、休憩したくて小さいけれど有名なリゾート地のカシュに寄り、カフェでコーヒーを飲んでいた。
地中海の町カシュ |
カフェのザクロの木 |
そこに突然、二人の男女が台を出して何か作業し始めた。(下の動画参照)どうやらLokuma(ロクマ)という、揚げ菓子を作るようだ。とても軽い生地を揚げてシロップにサッと浸け提供する。口の中に入れても、まだ表面はカリッとしていてシロップにもどっぷり浸かっていないので、油であげているけれど、軽い口当たりのお菓子だ。好みでシナモンを振りかける。丸いのや、ドーナツ型のものもある。
ハユル・ロクマス(Hayır Lokuması)について簡単に説明すると、この揚げ菓子は、 宗教的な祝日、結婚式、葬儀、メヴリット(イスラム教の儀式)などの特別な日に、慈善と功徳を得る目的で配られる。この伝統はオスマン帝国時代から現代に至るまでの礼儀であり、配る側と受け取る側の双方に精神的な安らぎと社会的連帯をもたらすと言われる。願いが叶ったときや、子供が産まれた時、披露宴や、割礼式どの慶次にも配られるが、特に故人の魂のために配られるロクマは、その魂が安らかに眠り、功徳が増すために行われる。そして、ロクマを食べる人々の祈りは、亡くなった人の魂に功徳をもたらすと言われている。大切な身内を亡くした家族は、業者に注文し(あるホームページには750人前から5200人前までの注文票が記載されていた)ハユル・ロクマスを道行く人に配ってもらう。
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以前にも偶然通りかかった時にいただいたHayır Lokuması |
私たちも祈りを捧げてから一皿いただき、目的地へ向かった。祈りが故人に届きますように。