トルコ語でHünnap(ヒュンナップ)と言う果物です。
緑と茶色のものが写っていますが、熟れてくると茶色になります。熟れるといっても、実が柔らかくなるのではなく、甘さが増します。噛むとカリッという音がして、ジューシーではない(かといってパサパサでもありません)リンゴのような食感です。ほのかに甘く、美味しいです。
さてこのへんで、種明かしをしましょう。これは「夏芽(ナツメ)」です。よく、デーツと言われるナツメヤシと間違えられますが、全くの別物です。 最初、私も混同してしていました。
日本語で「夏芽」という名前が付いたのは、夏に芽が出るからだという説があります。自宅近くの高級なデリカテッセンにドライナツメが売られていて、そのキャッチフレーズに「楊貴妃も好んで食べた」と書いてありました。 ナツメを食べると美人になれるのでしょうか。
写真のナツメも、トルコの友人宅の庭に木があり、たくさんなっていました。中国のナツメとは違い丸い形です。
| 友人宅の庭にあるナツメの木 |
| たわわになっているナツメの実 |
ナツメは、韓国料理の参鶏湯のチキンの中にも入っているように、薬膳としても使われます。そしてまた、漢方薬にも使われています。漢方では「大棗(たいそう)」と呼ばれ、葛根湯を初め、さまざまな漢方薬の処方に含まれ、胃腸を整えたり、精神を安定させたりする効果が期待される果実だそうです。こんなにすごい効果があるのなら、17年のトルコ滞在中にもっと食べておけばよかったと後悔しました。
今回帰国してからも食べたくなりましたが、生のナツメはみたことがありません。どこかで売られていないか探すと、ネットで長野産が買えることが分かりました。日本で、このナツメが食べられる!と喜んだ私に、あることがよぎりました。
北信の山小屋に行くたびに、農家さんの野菜直売所に行きます。珍しい野菜や、関西では買えないような新鮮な野菜が売られています。 実は、数年前に、その店で偶然にある農家さんのHさんと知り合い、それから毎年夏になると、とても新鮮な野菜を直接買いに行き、トルコ料理を作るのが最大の楽しみになりました。
そこで、そうだ、Hさんに聞いてみようと思い、連絡したところ「直売所で昨日見たよ。送ってもらえるかも」と返事がありました。 大喜びし、すぐに電話をしましたが「直接買いに来て、ご自身で送ってもらいます」と言われました。「関西からなので無理です…」としょぼくれた返事をしたら、先方も大層気の毒がってくれましたが、やっぱりできないとのことでした。
Hさんに、ダメだったことを知らせると、何と「じゃ、買って送ってあげる」と言ってくレました。嬉しいー!! こんなに嬉しいことはありません。日本で初めて、貴重なナツメが食べられる!!
Hさんは、早速買いに行き送ってくれ、次の日に着きました。
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| Hさんが送ってくれたなつめ |
楊貴妃のようになれるかしら…。

