2019年12月17日火曜日

寒い時や風邪をひいたら飲みたくなる飲み物〜スパイス茶カイナル〜

寒い冬や風邪にはカイナル
2019年も残すところ、後少しになってきました。皆さん、お忙しくされているでしょうか。

寒い日が続くと、巷では咳やくしゃみをしている人をよく見かけるようになりました。
そんな時、思い出すのが、地中海にあるメルシンという街出身の友人や、そのご家族が寒くなると作ってくれた、スパイスを煎じたカイナルという名前の飲み物です。

飲むと、混ざり合ったいろんなスパイスが、ピリっと喉元を刺激し、その後は、体がポカポカと温まってきます。

ボザ(詳しくは、こちらをご覧下さいhttps://torukomeshi.blogspot.com/2017/04/blog-post_6.html)がイスタンブルの冬の風物詩であるなら、カイナルはメルシンやアダナ、アンタキヤ地方に冬到来を告げる飲み物でしょう。

カイナルのことをFBで書いたら、アナトリア中部に住んでいるトルコ人の知人から「作り方を教えて」と連絡がきたので、驚きました。他の地方では、あまり飲まれていないのかも知れません。

カイナルに使うスパイス
 カイナルは7つのスパイスを煎じて作ると教わりました。(スパイスの数や種類は、家庭によって多少変わることもあるようです)コトコトと1時間~1時間半煎じている間に、スパイスの香りが漂ってきます。一緒に砂糖も入れて、煮立てるので、もちろん甘いです。次の7つの写真は、カイナルに使うスパイスです。(日本で購入できます)

丁字
ドライ生姜






ホールのオールスパイス
ターメリック
シナモンスティック
リョウキョウ





ナツメグ
生姜は生のものより、乾燥したものの方が、味がよく出るそうです。そして、全てのスパイスは、パウダー状でも売られていますが、やはりそのままのものを煎じるのがいいそうです。

あるレシピを見ると、水5リットルにスパイスを入れ、そこに2キロの砂糖を加えると書いてありました。甘過ぎではありませんか? それに、うちには5リットルの水を入れられるヤカンもありません。そのため、自宅にあるヤカンに適当にスパイスを「お茶・だし兼用パック」に入れて煮立てます。


 私は、煎じる時に砂糖はいれず、飲むときに少し、ハチミツを加えます。
もちろん、砕いたクルミは、たっぷりと振りかけます。シナモンパウダーや、砕いたピーナツをかけると言う人もいるようです。



ここからは余談です。
カイナルは、出産後40日間、お祝いに来た人にふるまわれるロフサ・シャーベティ(一般的にLohusa şarbetiと書かれますが、辞書ではLoğusa şarbetiと記載されています)としても、飲まれているところがあるそうですが、私が見たロフサ・シャーベティは、バラ色をした飲み物で、カイナルとは違っていました。(下の写真 https://www.pinterest.jp/pin/50876670767307284/)

ロフサ・シャーベティ
その作り方を調べてみると、どうやらピンク色をしたロフサ・シャーベティの素があるようで、それにカイナルに使われているような、スパイスを加えて作るみたいです。出産後のお祝いにふるまわれるだけでなく、母乳の出がよくなるように、そして母乳がいい香りになるようにと、母親にも飲むよう勧められるそうです。

このロフサ・シャーベティは、実は、オスマン帝国時代にもあった飲み物で、昔は、胃腸の働きや免疫力を高めるために飲まれていたそうです。また、はしかや肺炎によく効くとも言われていました。たくさんのスパイスを煎じているからだと思います。



オスマン帝国時代も、現在も「ロフサ・シャーベティ」と、名前は同じですが、はてさて、この二つの中身も、同じものなのでしょうか…。
そして、カイナルとの関係は? 

一つのことから、調べたいことが次々に現れてきます。

2019年11月11日月曜日

私の本が出版されました〜『トルコ料理の誘惑ー私を虜にした食と文化』〜

皆様、このたび機会をいただき、現代企画室より『トルコ料理の誘惑〜私を虜にした食と文化』を出版することができました。
発行日は10月29日、そう、トルコ共和国建国記念日です。編集者の方が合わせてくれました。

この本を書くきっかけは、ブログを読んでくれている友人知人が「是非、本にまとめたらいいよ」と、アドバイスをくれたことでした。そして、ご縁があり、現代企画室につないでいただくことができました。

本書では、ブログで書いたことをまとめただけではなく、16年以上のトルコで経験したことや、帰国後の研究をもとに、大好きなトルコの食と文化について紹介しています。
内容は以下のとおりです。
・トルコ料理はどこからきたのか
・近代化の波とオスマン宮廷料理の変革
・コーヒーに集う市民たちの嗜好と贅沢
・イスラムの年中行事を食べ尽くす
・帝国は滅ぶともスイーツは滅びず
・トルコ食文化の担い手たち
・現代トルコ家庭の「いえごはん」
・トルコ人はどこからきて、どこに定着したのか

料理をとおしてトルコの文化もとりあげ、読者の皆様が飽きないように、趣向をこらしたつもりです。

最後には、日本の材料で作れるトルコ料理のトルコ風(←ここが肝心)レシピをご紹介しています。

是非、お手に取って一読いただければ、大変嬉しく思います。

この本を出版することができたのも、ブログを読んでくださっている皆様のお陰です。
有難うございます。

今後は、本書で取り上げた多くの個々の料理について、作り方や説明などをこのブログで、書いていこうと思っておりますので、今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。

2019年10月14日月曜日

分かっちゃいるのに止められないこと〜トルコでの買い物・本〜


今回買った本
 トルコに来ると、日本で手に入らないものの一つ、本を買います。

イスタンブル大学のメインゲート
そのために、毎回、イスタンブル大学のメインゲートとグランドバザールの間にある、本屋に買いたい本リストを持って探しに行きます。

イスタンブルでの滞在先は、アジア側で、それも第二大橋からまだ北にあるため、ヨーロッパ側の旧市街までは、かなり遠いですが、街の普通の本屋にない本があります。院生の時、授業で使う教科書や資料も、ここへ探しにきました。


今回の滞在で、院生時代にとてもお世話になった学生課の方に挨拶しに行った帰り、本屋に寄りました。





やはり、ここに来るとどんな本に出逢えるか、ワクワクします。リストに挙げた本が見つかるかどうかは、分かりませんが…。

本屋街への入り口
まず、見つかりそうな雰囲気の本屋に入ります。そこで、探している本のリストを見せて、訊ねます。そうすると、その本屋になかったら「○○番の店にあるよ」とか「○○番の店で訊ねてみな」と、教えてくれます。

残念ながら、今回探しているリスト本の中では、一冊だけしか見つけられませんでした。でも、他に買いたい本を見つけてしまい、我慢できずに買ってしまいました。

滞在先に帰って、重さを量ってみると5キロ弱…。あー、他に食材も買ってしまった。
全部、持って帰れるのか?

トルコに来ると、いつも同じ問題をかかえます。

でも、分かっちゃいるのに、止められない…。

2019年10月11日金曜日

トルコの風物詩〜その1、私の好きな「生クルミ」〜

どこの国や地方でも、その土地ならではの食材があります。
今回は、トルコの季節ものの一つである「生クルミ」をご紹介したいと思います。

生クルミというと、日本ではローストしていないクルミのことだと紹介されています。しかし、トルコの生クルミは、ローストしていないどころか、まだクルミの殻も乾燥していない状態のものです。「生」の中の「生クルミ」です。秋の時期にだけ売られます。

殻も乾燥していない状態のクルミ
乾燥していないため、殻もすごく堅いです。クルミ割りを使い、体重をかけてやっと割れる感じです。でも、殻も中身も砕いてしまわないようにと、力の加減が難しいです。人が割っているのを見ると、思わず自分の顔にも力が入ってしまいます。(笑)

中身の薄皮は、まだそんなに茶色ではありません
やっと殻が割れると、中から薄い茶色の薄皮に包まれた中身が出てきます。日本で売られている生クルミは、もっと茶色い色をしていますよね。

薄皮を剥いて食べます

上の2枚の写真は、少し日にちが経った生クルミです。薄皮がちょっと濃い茶色に変わっていますが、この状態でも、皮の下は白くて生です。

この薄皮を剥くのが、一苦労です。平たい部分は割とすんなり剥けるのですが、ひだひだの箇所は、それほどさっさと剥けません。おまけに剥いている間に、皮が指にくっついてしまいます。それでも、好きなので食べたくなります。

おいしいものを口にするのは、面倒をも意に介さないということなのでしょう。

この薄皮を剥くのは、たくさん食べると体に良くないからだと聞いたことがありますが、苦いからだと言う人もいます。そのまま口にしている人も見かけました。私は、剥いて食べる派です。

さて、味の方はどうかというと、皆さんがご存知のローストしているクルミは、噛むと「カリッ」として、すぐに脂が口に広がります。しかし、この生クルミは、あえて言うなら人参のように「コリッ」としたテクスチャーで、噛んでもすぐに脂分を感じません。薄い味とでもいいましょうか、少し、甘味があり、噛んでいくうちにほのかな脂分が感じられるくらいです。

そのため、ローストしているクルミは、脂分が多くて一度にたくさんは食べられませんが、この生クルミは、しつこくないため、皮を剥くのが面倒でない限り、いくつでも食べたくなります。

皆様も、もしこの季節にトルコにいらっしゃることがあれば、是非、この生クルミを味わってみてください。

2019年10月7日月曜日

トルコで使っていた携帯がブロックされた〜その3・別の店舗で聞いてみた〜


 <その3>

やっぱりなぁ、とは思いましたが、待てど暮らせど回答のメールは来ません。
不便な日々が続いていくばかりです。

トルコでは、店舗によって、店員さんの知識が異なり、言うことも違うので今度は、別のボーダフォンの店舗に行き、説明を繰り返し、どうしたらお金が返ってくるのか、そして、今までの番号を使える方法はないのかと、また聞きました。

しかし、結果は同じで、お金は返ってこないし、居住許可書がない私は携帯を使えないとのことでした。

電話が使えなくなっているのに、ブリペイドのお金は払い込めたのはおかしいと文句を言ってみました。

私の剣幕に驚いたのか、つい最近、通達があった法律で、残念ながら自分たちは何もできない、お金を取り戻したければ「裁判所に訴えることです」と言われました。もう耳を疑いました。

なす術もなく、がっかりしていると「でも、ボーダフォンの大きな店舗に行けば、居住許可書を持っている人や、トルコの友達の名前でトランスファーしてもらえますよ」と、さきほどの店員さんが、急に言うではありませんか。朗報です。やった!

そこで、念のため(←こういうところが肝心です)どこの店舗に行けばいいのか訊ねると「大きな店舗でも、してくれるかもしれないし、してくれないかもしれないです」とのこと。(ほらね、やっぱり。さっきしてくれるって言ってたのに!)

一番手っ取り早いのは、ヨーロッパサイドにあるボーダフォン本社に直接行くことだと教えてくれました。(これまでは、ずっとイスタンブルのアジアサイドでの話です)本社に行けば、すぐにトランスファーしてくれるから行けばいいと、勧めてくれました。

目の前がぱっと明るくなった私は、さっそく滞在先の友人に、一緒に行ってくれるようにお願いしました。

ところが、友人の話を聞くと、モールの中に入っている店舗は、遅くまで開いているけれど、本社は9時-5時で、週末は休み。友人も5時半まで働いているので行けません。他の友人たちも働いているし、また、面倒なことに巻き込みたくなかったので、頼めません。あー…。

またもや、途方にくれました。

一喜一憂がつづく…

2019年10月4日金曜日

トルコで使っていた携帯がブロックされた〜その2・こんなに面倒になるとはつゆほどにも思わず〜

<その2>

モールに入っているボーダフォンの店に行き、パスポートを見せて身分確認ができると、すぐに使えるものだと思っていました。この時は、まだこんな面倒なことになるとはつゆほどにも思ってもいませんでした。

店員さんに、事情を話すと「居住許可書を持っていますか」と聞かれました。日本に帰国したので、持っていないと答えると「新しい法律で 、居住許可書を持っていない外国人の携帯電話は使えなくなりました」と、耳を疑うような答えが返ってきました。

はぁ? 空港で、電話がかかってきて話せたし、プリベイドのお金も振り込まれたのに…。

そこで、今まで振り込んだお金は、返ってくるのかと聞いたところ、ブロックされているので、どうしようもないとのこと。

ブロックされているのなら、何故お金は振り込まれたのか?? 詐欺みたいな話です。
知っていたら、空港でプリベイドのお金を振り込まなかったのに…。

トルコに来る度ごとに、新しいSIMKカードを買うしかないとのことでした。友人知人は、私のこの番号を登録しているため、毎回新しい番号になどしたくなく、どうにかできないものかと頭を抱えました。

友人宅に戻り、別の友人に相談したところ、ボーダフォン・カスタマーサービスに電話をかけて聞いてくれました。メールで問い合わせるか、ボーダフォンの店舗で聞くのがいいとのことでした。

さっそく、ボーダフォン・カスタマーサービスに「どうすればお金が返ってくるのか、そして、この番号をもう一度使うためには、どうすればいいのか」という問い合わせメールを出しました。

つづく…

2019年10月3日木曜日

トルコで使っていた携帯電話がブロックされた〜その1・困った、急に何故?〜


今回は、食に関することではありませんが、トルコを象徴するような出来事があったので、書こうと思います。

実は、携帯電話がブロックされてしまいました。
長くなるため、少しずつお話しすることにします。

<その1>

イスタンブルの空港に着くと、まず、トルコで使っている携帯に電源を入れることにしています。電源を入れました。すると、すかさず迎えに来てくれていた友人から、どこにいるかと電話がかかってきました。

そうです、この時、私の電話は生きていました。

到着ゲートを出て、私が次にすることは、電話にプリベードのお金を入れることです。 待ってくれていた友人は、ボーダフォンに並ぶ長蛇の列を見て、自分のスマホからネットで、私の電話にお金を入れてくれました。

お金は振り込まれました。

さて、友人の家に着き、イスタンブルに着いたことを知らせるために、指導教官だった先生に電話をかけました。 ところが「身分証明書を持って、近くのボーダフォンの店舗に行ってください」という音声とともに、電話は切れました。

空港で、友人から電話がかかってきたので、不思議に思い、目の前にいる友人の番号を押しました。結果は同じ。かかりません。

今度は、友人に私の携帯に電話をかけてもらいました。電話は鳴っています。でも、とると切れます。

このトルコの携帯番号は、最初から変わらず同じ番号を20年近く使っています。日本にいる間に、電話を停止されないために、友人に数ヶ月に一度、お金を入れてもらっていました。2012年に日本に帰国して以来、ずっとこの方法で使えていました。

この携帯が使えなくなると、連絡がつかない人がいるし、とても不便なため、さっそく近くのモールにあるボーダフォンの店に行きました。

つづく…

2019年9月26日木曜日

日本でも飲みたいケフィル 〜ヨーグルトドリンクのような発酵乳〜

 みなさま、長らくご無沙汰しております。久しぶりのブログになります。
実は、昨年より食文化に関する本を書いており、やっと来月出版される運びになりました。出版された折には、またご報告いたします。

 さて、今年もトルコに来ております。今回も、少しずつですが、トルコからの食レポートをお送りしたいと思います。

 第一回目は、日本では未発売の発酵食品ケフィルです。

 私は、トルコに着いたらまず、マーケットでケフィルという飲み物を数本買います。ケフィルは、聞き慣れない名前かもしれませんが、日本では、ケフィアと呼ばれているようで、ジョージアやアゼルバイジャンなどの、コーカサス地方の発酵乳です。
私はいつも果物も入っていないプレインを飲みます。
  一見すると、牛乳のように見えます。けれど、牛乳でも、ヨーグルトドリンクでもありません。

 ケフィルもヨーグルとも発酵乳なのですが、weblio辞書によると「日本では発酵乳は、ヨーグルトと呼ばれこれは乳酸菌だけで発酵しますが、ケフィアは乳酸菌と酵母で牛乳を発酵させます」と書いています。ヨーグルトの種類のように思われがちですが、この二つは別物です。

 「ヨーグルトきのこ(kefir grain)」と呼ばれている、カッテーチジーズのようなツブツブの固まりを牛乳に入れて作られます。この「ヨーグルトきのこ」という名前から、日本では、ヨーグルトの種類だと思われているのでは、ないでしょうか。
 しかし、さきほども書きましたが、この二つは、発酵乳というカテゴリーの中に、ヨーグルトとケフィアという別の名前で分類されています。
 
 写真に写っているボトルの下に「PROBİYOTİK(プロバイオティクス)」と書いてあるのが読めます。腸内細菌学会によると、プロバイオティクスはアンチバイオティクス(抗生物質)に対して提案された用語であり「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されています。
 そのためでしょうか、ボトルには腸の絵が描いてあり「プロバイオティックは消化を助け、腸の働きを整える」と記載されています。

 説明が長くなりましたが、味はどうかというと、甘くないヨーグルトドリンクのようです。さらっとしていて、飲みやすいですが、甘いヨーグルトドリンクになれた日本では、果物入りがいいかもしれません。トルコでも、プレインの他に果物入りが売られています。

 ケフィアは発酵食品のため免疫力が高くなるとか、血圧にいいとか色々言われています。私もトルコに着くと、長旅の疲れや環境変化のため、お腹の調子を整えるのに飲んでいます。体にいいと聞くと何でも飛びつく日本です。それなのに何故現在、多様なメーカーが競い合って、あれほどいろんな菌を使ったヨーグルトをそれぞれが売り物にしている日本で、ケフィアがないのでしょうか。

 不思議に思い調べたところ、ケフィアは発酵しているので、蓋を開けたときの爆発を防ぐため、市場に出すには、容器が問題だとか…。そういえば、グラスに注ぐとブクブクと泡立っていました。でも、トルコでは、瓶かペットボトルに入っていて、何の問題もなく、普通に売られています。開けたときに、爆発なんてしません。

 もし、日本で売られない理由が、発酵することにより爆発防止のための適当な容器がないのであれば、どうしてトルコでは、普通の容器に入って売られているのでしょう…。もしかして、トルコで飲んでいるケフィルは、本当にケフィルなの?謎は深まるばかりです。

  でも、おいしいのでサプリではなく、日本でも飲み物として市場に出回る日が来るのを切に願ってやみません。