2017年12月1日金曜日

イスタンブルから〜トルコの地方料理を食べる・黒海のピデ




黒海は、ピデでも有名です。ピザのように生地を伸ばして具を乗せ、かまどで焼いたものです。

イスタンブルにいて、よく耳にしていたのは「トラブゾン・ピデ」でした。黒海のトラブゾンという街の名前がついたピデです。

しかし、同じ黒海地方のピデでも、地方によって生地が柔らかかったり、薄かったり厚かったり、ピデの具を乗せてから上に生地を被せて焼いたり、形も舟形から円形までと、作り方も形も様々です。

トルコの田舎ではよく見られる風景ですが、パン釜がある家では自家製のパンを焼いています。黒海地方でも例外ではなく、朝から火をおこし、先ず最初にピデを焼き、その後、火が落ち着いてから、パンを入れて釜のドアを閉めて焼いていました。最後に火が弱まってから、乾パンを作るために、焼いたパンをスライスして、再度、釜に入れ、ドアを閉めて次の日まで置いておきます。

焼きたてのピデは、ご近所さんたちに配られるのが習わしでした。こうして、村では自分の家で頻繁に釜に火をいれなくても、ご近所さんたちが持って来てくれた熱々のピデを食べることができたのでした。(Mustafa DUMAN 'Trabzon-Maçka'da, 1950-1960 Yıllaır Arasındaki Geleneksel Mutfak Kültürü', M Sabri Koz ' Yemak Kitabı I Tarih-Halkbilimi-Edebiyat') 

自分の家に釜がなくとも、ご近所の釜に火が入るときは、ピデのやパンの生地を持参すれば、釜を使わせてもらえるのです。この習わしは、町のパン屋にも受け継がれていて、街角のパン屋さんに自家製のピデの具をもっていけば、お店のピデ生地にその具を乗せてお店の釜に入れて焼いてくれました。料金は、ピデの生地代だけでした。これ以外にも、練り胡麻(タヒン)とお砂糖を持参すれば、お店のパン生地にそれを練り込んでくれて、デニッシュに似たぐるぐる巻き様のパンを焼いてくれるパン屋さんもありました。できたてのパンとお店の職人たちの優しさが伝わってきて、本当に美味しかったです。

今回のイスタンブル滞在では、友達が、私にどうしても食べさせたいピデ屋さんがあると連れて行ってくれました。しかし、彼女のお気に入りの黒海出身の職人さんがいなければ、行っても仕方がないと言うので、その職人さんがいるのを確認してから行きました。

上の写真に大きく写っているのが、私が食べたピデです。その場で焼きたてが頂けます。具にも種類があり、チーズ、ミンチ肉、卵とバターなどが選べます。チーズのピデは、その地方のチーズが使われるため、味にも変化があると聞きました。私は、ミンチ肉のピデに卵を入れてもらいました。もちろん黄身は、トロッとさせてくださいとの細かな注文にも気さくに応じてくれます。

大きいですが、生地が薄いのでペロリと一枚たいらげてしまいます。以前、別の場所で食べた同じ黒海地方の丸い形のピデは、もっと生地が厚かったですが、ここのピデは薄皮でお腹にももたれませんでした。 もう半分ぐらい食べられたように思います。

その作り方を動画でご覧ください。





トルコにいると、何を食べても美味しいので毎回食べ過ぎて「あ〜お腹いっぱい!」と思わず言葉がもれてしまいます。