2017年12月26日火曜日

イスタンブルから〜トルコの地方料理を食べる・地中海地方のハタイ料理


今回は、イスタンブルにあるハタイ料理店の料理をご紹介したいと思います。

ハタイは、トルコの地中海地方の南東にあります。西部が地中海に面しており、南東部はシリアに接しています。



ハタイの歴史は複雑で、シリア領と考えられていた時代を含め、フランス領シリア時代を経て1939年に現在のトルコの一県になりました。

ピンクで塗られた地域が地中海地方

地中海地方は、その名の通り、地中海に面した地域です。その気候は、地中海性気候で、全体として温暖で穏やかだと知られています。そして、乾燥気味で夏には雨が少なく、その反対に冬には相対的に雨量が多く、やや湿っています。

しかし、地中海地方と一言で言っても、一概にすべてが同じではありません。日本の都道府県を見ても、例えば近畿地方にある京都府の南部と日本海に面した北部では、気候が違うのと同じように、地中海地方にも違いがあります。

私が知っている地中海地方東部にあるメルシンやアダナ(どちらもハタイの近くです)などは、日本の夏のように湿気が多くとても暑いです。そのため、夏になると高原にある避暑地で過ごす家族が多くいます。夏になると涼しい所に移動するというのは、かつてのトルコ民族の遊牧民生活の面影が残っているからでしょうか。

ピンクの右端の濃いブルーで塗られた地域が南東アナトリア地方

ハタイは、地中海地方にありますが、すぐ側には南東アナトリア地方(南東アナトリア地方については、前回のブログをご覧ください。https://torukomeshi.blogspot.jp/2017/12/blog-post_17.html)とシリアがあり、そのため、料理にも地中海地方の料理と南東アナトリア地方、そしてアラブ料理が混ざりあった独特のスタイルで、その美味しさは、トルコ国内でもよく知られています。

では、地中海地方の料理とはどんなものでしょうか。

一般的な地中海地方料理といえば、果物や野菜料理が多く、その反対に肉料理は比較的少ないのが特徴です。そして、地中海沿岸部では魚介類の料理も多く見られます。また、エーゲ海地方同様に、オリーブオイルが使われます。しかし、気候と同様に料理にも、その土地によりそれぞれ特徴はあります。

ハタイの食材には、当時のイスタンブルでは、なかなか手に入らなかったサツマイモや、日本で売られているような硬い柿(一般的にスーパーで見かけるトルコの柿は、どうやら渋柿の熟されたものが売られているようです)など、独特のものがあります。ハタイに行った友人からは、よくサツマイモや柿のお土産をいただいていました。

さて、では、今回のイスタンブル滞在中に行ったハタイ料理レストランの話をしましょう。

このレストランにも、やはり地中海料理以外にもフィリキ・ピラヴ(Firik Pilavı:Firikという小麦がまだ若い時期に収穫され乾燥したものを使って作るピラフ)など、南東アナトリア料理も見られました。地中海料理と南東アナトリア料理が混ざり、どちらの美味しい料理もいただけるお店でした。

前菜の盛り合わせ
グリーンオリーブのサラダ
先ず注文したのは、前菜の盛り合わせとオリーブのサラダ。 ハタイの小さいグリーンオリーブは一つ一つ割られていて、塩漬けにされています。あっさりした中にも旨味が多く、際限なく口に入れてしまいます。

前菜の盛り合わせは、もう少し大きなお皿に盛ってほしかったです。せっかくのそれぞれの味が、混ざってしまいました。

イチリキョフテ(içli köfte:挽き割り小麦で作った皮の中にスパイシーなミンチが入っていて、茹でたり揚げたりします)は、茹でたものの方が私は好きです。上の写真のように楕円形のものもありますし、円形にするものもあります。

このイチリキョフテを作る時には、(説明が難しいですが)丸めた皮の生地の中に指を入れ、少しずつ中を広げて空洞にし、その中に具を入れます。皮が薄ければ薄い方が美味しいとされています。揚げたり、茹でている間に皮が割れてしまわないようにするために、作るのが難しいと言われてる料理です。ハタイでは、このイチリキョフテをオルク(oruk)と呼ぶようです。

これが、フィリキ・ピラヴです。
よく見ると、小麦の粒がみえています。新食感で思った程、しつこくなくて美味しかったです。

ケブセ・ピラヴル・タンドール(Kebse Pilavlı Tandır)という料理です。タンドールで焼いた羊肉が乗っています。ハタイでは、Kepse pilavıと呼ばれているようです。

デザートは、もちろんキュネフェ(Künefe)です。フランス料理の揚げ物の衣にも使われている、カダイフという小麦で作られて、素麺を乾燥させたようなものを使います。その間に、塩気のないチーズが入っていて、バターをたっぷりかけて焼きます。焼き上がると、その上から、今度は甘いシロップをジャブジャブとかけます。

私はいつも、シロップは少なめにしてくださいとお願いします。しかし、今回、別の場所で食べたキュネフェには、シロップが別の容器に入って出されてきました。初めて別にシロップがついてきたキュネフェを見ました。だんだん、トルコの人の中にもシロップは、少なめに…という人が増えてきたからでしょうか。

それでも、バターとチーズ、そしてお砂糖一杯のキュネフェは、ダイエットの天敵です。ダイエットなど考えたら食べられません。
さて、これだけいただくとさすがに、お腹が一杯になりました。最後は、やはりチャイか、トルココーヒーをいただき、しめにします。