トルコ料理が話題にあがると、よく「トルコ料理って、シシケバブでしょ。え?シシカバブだっけ?」と聞かれることがあります。トルコ語ではケバプ(kebap)と言い、「焼き肉、焼き物」という意味で、アラビア語が語源です。ケバプという言葉の前にシシや他の言葉がつくとケバブ(kebabı)と変わるのは、トルコ語の文法上のことなので、これはまた別の機会があれば、お話します。
ケバプは、トルコでは、南東アナトリア地方が 有名です。
右下の紺色に塗られている地域が南東アナトリア地方です。 |
南東アナトリア地方は、シリアのすぐ上にあり、乾燥したステップ気候が特徴です。
そして、料理は、アラブの国に近いため、ケバプ(kebap)のようなアラブ料理の要素がふんだんに取り入れられています。その他、ラフマージュン (lahmacun:ピデより薄い生地の上にミンチなどを乗せて焼いたもの)、チーキョフテ(çiğ köfte:赤身の生肉のミンチとブルグルやスパイスなどを練り合わせて作る料理)などでも有名で、主に羊をメインにした食肉中心の食文化です。
一般的に、南東アナトリア料理は、スパイスがたっぷり入っており、オイリーです。エーゲ海地方や、地中海地方で好まれ、よく使われているあっさりしたオリーブオイルより、動物性の脂が使われます。また、この地方料理の特徴の一つは、ドライフルーツが使われることです。これは、一般的なトルコ料理には、あまり見られない特徴です。
また、この南東アナトリア料理には、辛い、酸っぱい、そして甘いという三つの味が好んで使われます。酸っぱい味には、特にザクロ酢がよく使われています。イタリアのバルサミコに似た色と味わいです。そして、 甘い味といえば、何といっても甘いシロップがたっぷりかかったお菓子のバクラヴァやキュネフェなどがあげられます。( Arif Bilgin, Özge Samancı,'Türk Mütfağı' )
ということで、今回は、南東アナトリア地方が有名なケバプ料理のお店に行ったことを書こうと思います。
前菜やサラダなど |
選んだ前菜 |
そして、イタリアンパセリとルッコラーと、白チーズ。このように、緑の葉ものにレモンを絞り、むしゃむしゃと食べます。
最初に前菜と一緒に出てくる焼きたてのパンは、ピタパンのように中が空洞になっています。
このパンは、お変わり自由で、その都度焼きたてが出されます。美味しいからといって、食べ過ぎると、その後のメインが食べられなくなるので要注意です。
メインのケバブには、アダナケバブとシシケバブを注文しました。
アダナケバブは、日本のつくねのように、羊のミンチ肉に辛みを加えこねてから串につけ、焼いたものです。地中海地方の東端で、南東アナトリア地方の隣にあるアダナという地方の有名な、辛いケバブです。南東アナトリアのケバブではありませんが、ケバブというとアダナケバブは必須です。
トルコに旅行に来たヨーロッパの人が、このアダナケバブをたいそう気に入り、一度に5人前も頼んで食べたと聞いたことがあります。本当でしょうか。
メインのケバプと一緒に、ラヴァッシュというパンがついてきます。小麦のトルティーヤのようですが、トルティーヤより弾力があると思います。
このラヴァッシュにお肉や、最初に頼んたイタリアンパセリなどの葉ものを一緒に巻いて食べると美味しいです。
果物はサービスで出てきます。 |
デザートには、小麦粉で作られたお素麺のようなものを焼いて、その上に甘いシロップがたっぷりかかったカダイフとアイスクリームを注文しました。
トルコアイスというのをご存知の方もいらっしゃると思います。私たちが知っている、アイスクリームと違い、サクズ(sakız)というガムを作る時に使う樹液が入っているため、粘りが強く、ナイフで切らないと食べられません。
このように、ナイフで切っても落ちません。そのぐらい粘りが強いです。そして、トルコのアイスクリームには、卵が入っていないので、私たちの知っているバニラアイスではなく、白いアイスクリームはミルクの味です。
甘いカダイフにミルク味のアイスクリームを塗って(ソースになるようにうまく溶けてくれません)食べると、これまた美味しいのです。
トルコに来る前には、食事の後にデザートを食べるという習慣はありませんでしたが、トルコ料理をがっつりいただくと、最後にデザートを食べないと食事が終った気持ちになりません。この自分の変化が面白いです。
一番最後には、好みの味のトルココーヒーでしめになります。私はいつも、サーデ(お砂糖が入っていない)を頼み、口の中の甘さを流しすっきりさせて終わりにします。
あ〜美味しかったです!