彼女は、春には野尻湖に、マイ長靴とマイ網をもってワカサギの稚魚を網ですくいにやってきます。ドロドロの山道を下って行き、まだ寒い湖畔に私と二人、何時間も眼を凝らしてワカサギの群れを探します。夫には呆れられていますが、それが毎年の、私たちのお楽しみの一つです。
彼女もトルコに住んでいたので、トルコ料理が大好きなのですが、帰国してから食べたことがないそうです。
その彼女から、この夏、電話がありました。
「トルコ料理が食べたくなったの。特に、お坊さんの何とかっていうの。そして、まだ味わったことのない私の友人たちにも、トルコ料理を楽しんでほしいのよ」
そんなリクエストに、嬉しくなった私は、一つ返事で「まかして」と答えました。
彼女の言った「お坊さんのなんとか」というのは、トルコ語では「imam bayıldı(イマム バユルドゥ)」、日本語に訳すと「お坊さんの気絶」という茄子料理です。気絶するほど美味しいという意味合いでしょうか。
リクエストのあったイマム バユルドゥ(お坊さんの気絶)が、まずメニューに決まりました。他に、初めてトルコ料理を口にする人たちに、さて何を作ろうか…と悩みました。やはり旬の高原野菜をたっぶり使った料理に決めました。まだまだたくさん別の料理もありますが、それは次回の機会に取っておくことにしました。
今回のメニューは
前菜に
・イマム バユルドゥ(imam bayıldı:お坊さんの気絶!という名前の茄子の冷菜)
・ターゼ ファスリエ(taze fasulye:モロッコインゲンのトマト煮込み)
・キョズレンミッシュ クルムズ ビベル(közlenmiş kırmızı biber:パプリカの冷菜)
・ヤランジ チョケレキ サラタス(Yalancı çökelek salatası:チョケレキサラダもどき→ディップにしました)
・サルムサック ヨーウルトル クザルトムッシュ セブゼ(カヴァック・パトルジャン)
(sarmısak yoğrulu kızartmış sebze (kavak ve patlıcan):ズッキーニと茄子の素揚げ ニンニクヨーグルト添え)
・スズメ ヨーウルト (süzme yoğrut:水切りヨーグルト)
・作ってませんが、バゲットを数本
メインに
・タヴックル タヴァ(tavuklu tava:チキンの煮込み)
・ピラウ (pilav:ピラフ)
を作りました。
ドルマについてのブログで、茄子を使ったレシピを書いていますが、トルコ料理には、この茄子料理が大変多いのです。まさに茄子の七変化といったところです。今回も、二つの料理に茄子を使っています。焼き茄子を使った、茄子のサラダも大変美味しく、私も大好きなサラダ(というより、ペーストのようです)ですが、次回のお楽しみということで…。
今回の料理は、初めてトルコ料理を味わった人たちに、大変気に入ってもらえました。皆さん、初めて見た料理なので、味を想像できなかったようですが、口にすると「美味しい!」の声が続きました。「トルコに行きたくなった!」と言う話になり、いつか是非、この美味しい料理を食べるトルコ旅行を実現できればいいなと思いました。
同じ食材を使っても、私たちにとって馴染みの薄い料理法に興味を持ってもらえ、レシピを聞かれました。
次のブログからは、いくつか夏野菜を使ったレシピをご紹介したいと思います。