今回は茄子料理です。
トルコでは、夏の料理の王様は茄子料理だと言われています。日本の関西、神戸近郊では、家々から、イカナゴの釘煮(イカナゴという魚の稚魚の佃煮)を炊いている匂いが漂って来ると、春の到来を感じます。それと同じように、茄子を揚げた匂いが漂ってくると、トルコでは夏を感じるそうです。
この茄子料理には、色々な料理があります。素揚げはもちろん、揚げてトマトソースで和えたもの、焼き茄子のペーストにホワイトソースとチーズを加えたベーンディ(beğendi)、茄子のケバブ、 茄子のピラフ、はたまた茄子ジャムや茄子のデザートまであり、数えたらきりがありません。日本で私たちが、知っている茄子料理では想像できません。
このブログでは、前回の「トルコ料理を楽しむ会」で好評だった茄子料理、イマム バユルドゥ(imam bayıldı:お坊さんの気絶)のレシピをご紹介したいと思います。
この料理の名前は、日本語で「お坊さんの気絶」です。すごいネーミングだと思います。名前に使われているイマム(imam)という言葉は、トルコ語ー日本語辞書に「信徒指導者、導師、イスラム僧、イスラム教国の首長」と書かれています。トルコ語ートルコ語辞書には、その他に「予言者ムハンマドの後、彼の任務を引き受けるカリフへの称号」と書いてあります。そんな色んな意味を持つイマムという言葉を「お坊さん」と訳すのには、軽々しい気もしますが、他にどんな訳があるかというと、頭を悩ませます。
話がそれてしまいました。この料理の名前の由来は「食いしん坊のお坊さんが、これを食べてあまりの美味しさに気絶した」や「とてもケチなお坊さんが、この料理を作る時に使われているオリーブオイルの量を見て、その多さに気絶した」などと言われています。(Artun ÜNSAL 'İstanbul'un Lezzet Tarihi)
でも、気絶するのは、熱いオリーブオイルに入れられる茄子ではないでしょうか。
イマム バユルドゥ
材料
小振りの茄子
タマネギ
トマト
ニンニク
イタリアンパセリ(なければパセリ)
シシトウ
砂糖
塩、胡椒
オリーブオイル
熱湯
1)タマネギを半分に切り、繊維にそって薄くスライスします。
2)シシトウは、タネを取り、縦に切ります。
3)トマトの皮をむきます。
湯向きするより、直接火で焙ります。
包丁のアゴの部分で、薄く十字に切れ込みをいれます。
フォークをトマトのヘタに刺し、直接火でクルクルと全体を回し焙ります。
皮が簡単に剥けます。
4)トマトを刻みます。
5)多目のニンニクを刻み、まずタマネギとニンニクをたっぷりのオリーブオイルで炒めます。
そこにシシトウを加えて、炒めてからトマトも加えて炒めます。砂糖、塩胡椒で味付けします。
7)炒めた野菜に、みじん切りにしたイタリアンパセリを混ぜます。これで茄子に詰める野菜は完成です。
8)茄子に切れ込みを入れます。
9)切れ込みを入れた茄子を水につけてアク抜きをします。
10)茄子をレンジで蒸して柔らかくします。
11)フライパンに6)で刻んで、余ったイタリアンパセリの茎を敷きます。茄子がフライパンにくっつかないためです。
12)フライパンに茄子を並べ、茄子の切れ込みにスプーンの腹を入れ、両サイドに中身を押して広げていきます。
13)広げた茄子の間に、炒めた野菜を詰めます。
14)熱湯を注ぎます。
15)オリーブオイルを多目に注ぎ、蓋をして炊きます。
出来上がり!
冷菜として召し上がれ。