それが、家を出たのは、晩ご飯を食べてからで、夜の9時半でした。いくら夏の夜長とはいえ、日本では人の家に行く時間として、あまり考えられないことだと思います。それも、友人の家ではなく、叔母さんのお宅に…。
お邪魔したのが、遅かったのと、家で食事を済ませていたので、お料理は遠慮しました。
食卓には、トルコでお茶とともに出て来る料理の定番、シガラボレイ(sigara böreği:春巻きの皮のようなユフカという生地でチーズを巻いて揚げたもの)、ゼイティンヤール ビベルドルマス(zeytin yağılı biber dolması:ピーマンの中にスパイシーなお米を入れた冷菜)、パタテスサラタス(patates salatası:ポテトサラダ)、クラビエ(kurabiye:クッキー)などが並んでいました。
夏休みに、親戚がイスタンブルに遊びに来ているので、友達も私も一緒にどうぞと誘われたのです。家の主や、数人は知り合いですが、初めての人たちもいました。私は頭の中で、自 分の友達が叔母さんの家にいて、そこへお茶に誘われるという、シチュエーションが今まであったかと自問しましたが、思いつきませんでした。私自身が日本で会ったこともないような遠い親戚とも、トルコでは、大切にお付き合いをしていることが多いです。
皆がテーブルを囲んで、ワイワイと話している間にも、せっせと手を動かして編み物をしている叔母さん(ここの主ではなく友達の友人のお母さんです)もいます。これもトルコでは、よく見られる光景です。
手慣れたもので、編み図など見なくても、頭の中に入っているそうです。子どものベストなど、数日で編み上げてしまうとおっしゃっていました。トルコでは、赤ちゃんがよく手編みのベストを着ているのを、見かけます。日本の手編みとトルコのは、少しモデルが違うような気がします。編み目がきっちりと詰まっているので、大人用のベストやセーターは、少し重いようにも思いました。
でも、日本では、見かけたことがないような編み方のショールをいただいたこともあり、寒い時に重宝していて、とても気に入っています。
種を出す時には、必ず殻入れの器も一緒に出てきます。 |
この種に関して、日本の女性と結婚したトルコの友人が教えてくれた話しがあります。結婚する前、彼女がトルコに来た際に、友人と一緒にスーパーに行ったそうです。そして、友人が、ヒマワリの種やかぼちゃの種を買っているの見た彼女は「家に、オウムを飼っているの?オウムの餌を買っているのね?」と聞き、友人が「…いえ、僕たちが食べます…」と答えると、彼女は絶句したそうです。いやはや…でも、これは美味しいんです。
私も、トルコに行った早々、長距離移動で車に乗っている間中、「種の食べ方」の練習をさせられました。尖った方から、チッチッチと3カ所、少しずつ軽く噛んでいき、最後に殻を舌でこじ開け、中身を食べます。考えてみると、オウムが食べているのと同じ食べ方です。でも、トルコの人の方が、オウムより早く食べるような気がします。それなので、すぐに殻で器が一杯になってしまいます。ピクニックエリアに行くと、この殻を地面に捨て、「貝塚」ではなく「殻塚」のようになっているのを目撃することもあります。
皆さんも、一度「ヒマワリの種」が素早く食べられるように練習してみては如何でしょうか。トルコの人とお茶をご一緒する時に、役に立ちますよ。