2018年11月14日水曜日

イベントのお知らせ

       「第2回トルコ料理の夕べ」をNPO法人FACILと共催でします。
 まだ若干の空きがあるようですので、よろしければ、FACILまでお申し込みください。


2018年10月1日月曜日

トルコ語コースのお知らせ

次々にやってくる台風で被害が出ていますが、皆様の所は大丈夫でしょうか。
お見舞い申し上げます。

さて、京都にある日本トルコ文化協会のトルコ語講座で、入門コースを担当することになりました。10月17日より始まり、毎週水曜日19時から21時までです。1回120分の 授業で10回コースです。

言語を学ぶためには、その国の文化を知ることは大切なことです。2時間の中で、このブログに書いたことなども含め、トルコの食や文化などもテーマにしながら、トルコ語の授業を進めていきたいと思います。

トルコ料理のレストランに入って、メニューに何が書いてあるかだいたい分かり、注文できるように一緒に勉強しましょう。

お問い合わせ・申し込みは、こちらです。

お問い合わせ・お申し込みは
日本トルコ文化協会
〒604-0882 京都市中京区高倉通夷川上ル M&M’s ビル 2F TEL075-255-7530 e-mail:nitto@silk.plala.or.jp URL:www.kyoto-nitto.com

地下鉄丸太町駅7出口から徒歩5分/地下鉄御池駅・阪急烏丸駅・京阪神宮丸太町駅近く

             パンフレットもご覧ください。

2018年8月26日日曜日

お茶を飲みに知り合いの家に行く〜トルコでの夜の過ごし方〜

トルコで、ある夜友達と、彼女の友人の叔母さん宅に、お茶を飲みに行きました。
それが、家を出たのは、晩ご飯を食べてからで、夜の9時半でした。いくら夏の夜長とはいえ、日本では人の家に行く時間として、あまり考えられないことだと思います。それも、友人の家ではなく、叔母さんのお宅に…。
お邪魔したのが、遅かったのと、家で食事を済ませていたので、お料理は遠慮しました。

食卓には、トルコでお茶とともに出て来る料理の定番、シガラボレイ(sigara böreği:春巻きの皮のようなユフカという生地でチーズを巻いて揚げたもの)、ゼイティンヤール ビベルドルマス(zeytin yağılı biber dolması:ピーマンの中にスパイシーなお米を入れた冷菜)、パタテスサラタス(patates salatası:ポテトサラダ)、クラビエ(kurabiye:クッキー)などが並んでいました。

夏休みに、親戚がイスタンブルに遊びに来ているので、友達も私も一緒にどうぞと誘われたのです。家の主や、数人は知り合いですが、初めての人たちもいました。私は頭の中で、自 分の友達が叔母さんの家にいて、そこへお茶に誘われるという、シチュエーションが今まであったかと自問しましたが、思いつきませんでした。私自身が日本で会ったこともないような遠い親戚とも、トルコでは、大切にお付き合いをしていることが多いです。

皆がテーブルを囲んで、ワイワイと話している間にも、せっせと手を動かして編み物をしている叔母さん(ここの主ではなく友達の友人のお母さんです)もいます。これもトルコでは、よく見られる光景です。
手慣れたもので、編み図など見なくても、頭の中に入っているそうです。子どものベストなど、数日で編み上げてしまうとおっしゃっていました。トルコでは、赤ちゃんがよく手編みのベストを着ているのを、見かけます。日本の手編みとトルコのは、少しモデルが違うような気がします。編み目がきっちりと詰まっているので、大人用のベストやセーターは、少し重いようにも思いました。
でも、日本では、見かけたことがないような編み方のショールをいただいたこともあり、寒い時に重宝していて、とても気に入っています。

種を出す時には、必ず殻入れの器も一緒に出てきます。
集まりの話しに戻しましょう。料理の後には、お茶うけに「ヒマワリの種」が登場します。殻の周りに塩味がついています。「塩多目」や「塩少なめ」など、選んで買うこともできます。
この種に関して、日本の女性と結婚したトルコの友人が教えてくれた話しがあります。結婚する前、彼女がトルコに来た際に、友人と一緒にスーパーに行ったそうです。そして、友人が、ヒマワリの種やかぼちゃの種を買っているの見た彼女は「家に、オウムを飼っているの?オウムの餌を買っているのね?」と聞き、友人が「…いえ、僕たちが食べます…」と答えると、彼女は絶句したそうです。いやはや…でも、これは美味しいんです。

私も、トルコに行った早々、長距離移動で車に乗っている間中、「種の食べ方」の練習をさせられました。尖った方から、チッチッチと3カ所、少しずつ軽く噛んでいき、最後に殻を舌でこじ開け、中身を食べます。考えてみると、オウムが食べているのと同じ食べ方です。でも、トルコの人の方が、オウムより早く食べるような気がします。それなので、すぐに殻で器が一杯になってしまいます。ピクニックエリアに行くと、この殻を地面に捨て、「貝塚」ではなく「殻塚」のようになっているのを目撃することもあります。

皆さんも、一度「ヒマワリの種」が素早く食べられるように練習してみては如何でしょうか。トルコの人とお茶をご一緒する時に、役に立ちますよ。

2018年7月22日日曜日

トルコの家庭で何世紀も愛飲されてきた塩ヨーグルト飲料〜アイランの作り方

トルコの伝統的な塩ヨーグルトドリンク、アイランの作り方を紹介します。無糖ヨーグルト、水と塩があれば簡単に作れます。こくがあるのにさっぱりした味です。猛暑の夏、水分や電解質補給、そして弱った胃腸にぴったりの飲み物です。熱中症予防に最適です。是非、暑い日本の夏を過ごされている皆様に試してもらいたい飲み物です。
解説は、井藤聖子(トルコ研究)、実演は、アスルハン・タシュ。


2018年7月9日月曜日

フェテエのパザールでの軽食〜夏に最強の飲み物「アイラン」とトルコ版一銭洋食「ギョズレメ」〜

トルコのフェティエに滞在しています。
ここには、火曜日と金曜日に市がたちます。トルコ語ではパザール(pazar)と言います。
早速私たちも出かけることにしました。でも、家から外に出て、歩き始めると猛暑で「暑すぎる… 出なければよかった」と後悔しましたが、待ち合わせをしていたので、そのまま出かけて行きました。

市場の上はテントになっているので、日差しは直接ありませんでしたが、とにかく暑い!買いたい物を探している間に、着ているTシャツは、汗で塩があちらこちらにふいて白くなりました。飲み水もなくなったので、ここらで休憩しようと、軽食を取ることにしました。

フレッシュな果物を絞って作るジュースがあったので、夫はメロンジュース を、私はオレンジとザクロのジュースを頼みました。氷は入っていましたが、果物が冷やされていなかったのでしょう、冷たくはなかったです。それでも、乾いた喉には、美味しかっ た!一気飲みほしてしまいました。体にビタミンがグイグイ入っていく感じでした。

軽食には、ギョズレメを注文しました。小麦粉と塩と水で練った薄い生地に、色んな具を入れて焼きます。具には、ポテト、チーズ、ほうれん草、ミンチなどがあり、それぞれ組み合わせも大丈夫です。

私は、ほうれん草とチーズが好きなのでそれにしました。 生のほうれん草を生地ではさんみ焼きます。ほうれん草を炒めてから入れると、水分が出て美味しくないそうです。
焼いているところを写真に撮ったら、お金を要求されました。ここで食べているからと言ってそのまま席に着きました。お金は、冗談で言っているのか、本気なのか?

各テーブルには、トルコ語でトゥルシュという、お漬け物の入れ物が置かれています。色んな種類のトゥルシュがあります。上の写真は、茄子のトゥルシュと、キュウリ、キャベツと人参のトゥルシュ。

赤く見えるのは赤キャベツ。酸っぱいものは、注文したギョズレメと合います。

それぞれの容器から取ったトゥルシュ。どれにもニンニクがよく効いていました。白ご飯とも合うと思います。

フレッシュジュースの次に頼んだのは、塩味のヨーグルトジュース、アイラン。これを頼む時には必ず「自家製の泡があるアイラン?」と聞きます。市販のだったら、頼まないことが多いです。自家製の泡アイランの泡が、美味しいからです。
運ばれて来たら先ず、先に、泡をすくって食べます。これが、本当に美味しい!溶けるようにクリーミーで美味しいんです!
自家製のアイランを作る機械

実は、夫はこの日のあまりの暑さに体調を崩し、夏風邪をひいてしまいました。食欲もなくほとんど食べられませんでしたが、バザールで飲んだアイランの美味しさを知り、アイランだけは口にできました。喉の痛みも咳にも、アイランがよく効いたそうです。体が弱っている時には、最強の飲み物です。

夏の暑い日、汗をかいた水分補給の後に、この塩味のアイランがあれば鬼に金棒だと思います。

2018年6月16日土曜日

ドイツではドナーケバブと呼ばれているドネルケバブ〜トルコにはないたっぷりの野菜とソース入り〜

ドイツのトルコ料理の続きです。
ドイツのドネル屋さんでは野菜をたっぷり巻きます
デュッセルドルフの「トルコ人街」に行ってきました。
通りの両側に並ぶディスプレイの仕方は、まさに「ここはトルコ?」と見間違うほどでした。


写真を撮り忘れましたが、スーパーマーケットでは、トルコのマーケットと殆ど同じ物が売られていました。ディルなどのハーブ類は、一般のマーケットで買うより、数段安くて新鮮だと聞きました。

お昼時だったので、ドネルケバブのドゥルム(削ぎ切りのお肉を薄いパンに巻いたもの)を食べてみたくなりました。ドネルケバブ(döner kebabı)は、ドイツでは、ドナーケバブと呼ばれていてドイツ料理だと勘違いされているほど、馴染みのある料理だと聞きました。

ドネルに使うお肉は、トルコでは、鶏肉と羊肉ですが、この店では、鶏肉と牛肉の2種類でした。牛肉は固まりでなく、ミンチ状にしているものを串の周りに貼付けていました。

トルコでは、手作業で肉を切り落としますが、 さすがドイツ。薄切りには、電動のスライサーが使われていました。でも、長いナイフで薄く削ぎ切りにしていく職人技が見られないのは、ちょっと味気ない感じもしました。

ラヴァッシュと呼ばれる、クレープのような薄いパンの上に、野菜(写真)が順番に、どっさり置かれます。キャベツは、日本でも馴染みのあるキャベツの塩揉みと、赤キャベツの千切りの2種類がありました。そして、薄切り肉の上には、ソースがかかります。ちなみにトルコでは、ソースはかけません。
この店には、3種類のソースがありました。(写真の左上から)赤くて辛いソース、オーロラソース、ジャジュック。ジャジュックとは、ヨーグルトにミントとキュウリが入っているものです。(ここでは、ミントだけが入っていました)
私は、辛いソースとジャジュックを選びました。

お肉もたっぷりはいり、こんなに太くて長いドゥルムができあがりました。何だか恵方巻きのようです。
常々、大食漢で驚かれている私ですが、食べても食べても、なくなりませんでした。
夫が注文した茄子の料理とピラフ。茄子の料理は薄味だったようですが、ピラフは塩気が強すぎて、これでは血圧が上がるとこぼしていました。少し味見をしましたが、夫の言う通り塩辛かったです。
そこで、ふと思いました。まだ断食月中のため、もしかすると調理人が、味見をできなかったのではないかと。断食では、味見もできないと聞いていたので、塩加減を間違えたのに気づかなかったのかも知れません。
飲み物は、冷蔵庫の中から自分で勝手に選べます。そこにアイランがありました。アイランは、トルコでは塩味のついたヨーグルトの飲み物のことです。ところが、ここでは「さくらんぼ」と「桃」味を見つけました。「塩味のはずなのに、さくらんぼと桃?ひょっとして甘い…」
こういう時に試してみないという選択肢は、私にはありません。飲んでみたら、想像した通りの味でした。

でも、これがアイラン? アイランというのは「塩味」のヨーグルトドリンクのはずなので、ネーミングを変えたらいいのにと思いました。

2018年6月8日金曜日

ドイツのトルコ料理店〜お昼時には行列になるロカンタで舌鼓を打つ〜


ピラフ、ほうれん草のソテー、マッシュルームと羊の煮込みと、煮込みキョフテ
皆様、長らくご無沙汰しておりました。
6月からドイツに来ています。至る所で、トルコ語が聞こえてくると、何だかホッとします。
今のドイツは、アスパラガスの季節でとても美味しいのですが、 1週間も経つと、サラダではない野菜料理が食べたくなり、トルコ料理のお店に直行しました。

トルコの友人たちとヨーロッパ旅行に行くと、焼いた料理が多いため、友人たちは、トルコの煮込み形料理が食べたいと必ず言っていました。パンをバンドラバンドラ(浸して)食べたくなるそうです。何だかその気持ちが分かるような気がしました。
トルコ料理のお店でも、さすがドイツです。茹でたジャガイモ、揚げたジャガイモ、煮込みのジャガイモがありました。でも、そういえば、トルコにはあるマッシュポテトがみあたりませんでした。(見落としたのかもしれませんが)
煮込みキョフテは一つが大きく、トマトクリームのようなソースがかかっていました。
キョフテは羊肉で作られていましたが、この手のソースがかかった煮込みキョフテを、私はトルコで食べたことがありませんでした。クリームソース形だったので、もしかして、ドイツ風かな…とも思いましたが、お店の人に「トルコのどこの地方の料理ですか」と聞いてみたところ、クルド人がたくさん住んでいる地区の料理だと答えが返ってきました。
今回、私が一番に食べたかったのは、ほうれん草のソテー(ソテーと言っても、柔らかいのでたくさんの量が食べられます)でした。嬉しくて食べていると、何だかいつものものとは、ちょっと違うことに、気がつきました。
入っているのは、ほうれん草と、タマネギと、マッシュルームとパプリカ…。でも、口に入れると、何か匂いがします。
「あれ?この匂いを知っている…。何だろう?」そこでまた、「この、ほうれん草のソテー、すごく美味しいんですけど、何が入っているのですか?」と聞いてみたところ、一見タマネギだと思っていたものが、実は根セロリも入っていることが分かりました。根セロリ入りの、ほうれん草ソテーは初めての味でした。でも、それが、とても美味しかったです。

私たちが食べていると、注文するお客さんの長蛇の列ができてきて、何だかイスタンブルのロカンタにいるような錯覚に陥ってしまいました。

ドイツで久しぶりのトルコ料理が堪能でき、嬉しかったです。しかも、ビールが呑める!
でもここでは、ドイツビールではなく、トルコのビールですね。

2018年3月11日日曜日

イベントのお知らせ

皆様、これまで私が書いてきたトルコの食文化について、興味を持っていただき有難うございます。
もうすぐ、このブログを開設して1年になろうとしています。この度、それを記念に、私の作るトルコ料理とワインとのコラボレーションによる「トルコ料理の夕べ」という会を、お世話になっているワイン屋さんのお店ですることになりました。トルコ料理に合うワインは、店長の厳選です。
実は、パンフレットが出来上がる前に、もう定員一杯になってしまいましたので、今回はお知らせのみですが、次回からは、もしよければお越しくだされば嬉しく思います。

2018年2月27日火曜日

バラエティ豊なピラウの種類〜主菜として愛される〜

チキンスープで炊いたお米の上にチキンを乗せたピラウ
ピラウの話にまた、戻ります。
先ず、少しだけ、その歴史をお話したいと思います。

ピラウのレシピは、オスマン時代、15世紀にアラビア語で書かれた料理本をŞirvani(シルヴァーニ)という人がトルコ語に訳した本の中に記載されています。アラビア料理の本だと思われていたのですが、訳す時にŞirvaniがトルコ料理のレシピを付け足してしまったのです。(Stefanos Yerasimos 'Sultan Sofraları〜15. ve 16. Yüzyılda Osman Saray Mutfağı') グリム童話のようです。

ムラット2世の時代、まだイスタンブルがコンスタンティノーブルとよばれ、東ローマ帝国の首都だった頃に書かれたこの作品には、アーモンドとチキン、そしてサフランと砂糖が入ったMuzafferiye pilavı(ムザフェリエ ピラウ)と、肉とひよこ豆、そして、スパイスを入れて作られたkabuni pilavı(カブニ ピラウ:羊肉を使い、クミンとシナモンで風味をつけたレシピを見つけました)のレシピが載っています。

お米は、当時高価なものだったので18世紀まで庶民の食卓には、あまり登場しませんでした。しかし、宮殿での宴などでは、ご馳走として登場していました。(村ではブルグル、都会ではお米と、最近まで言われてきていたのが、これから分かります)前回のブログでも、書きましたが当時ピラウは、スプーン、それも木のスプーンで食されていました。

そして、宮殿では、ピラウ専門の名人たちがいて、赤い帽子をかぶるか、紺のシャルヴァル(Şalvar:モンペのようなズボン)を履いていました。それだけ、ピラウには特別な思いがあったのだと思います。そのピラウの伝統が現在でも、トルコ料理の中に受け継がれています。(Yunus Emre Akkor 'Osmanlu Mutfağı〜Gelenekten Evrensel〜)

では、現在のピラウの話に戻りましょう。
美味しいピラウの形容には「このピラウは、ターネターネ(tane tane)で美味しい」という表現が使われます。taneは粒という意味があり、ここでは、一粒ずつがパラパラに仕上がっている、という意味の賛辞になります。

タンドールで焼いた羊肉を乗せた、トマトソース味のピラウ
日本で作った、イワシのピラウ。松の実とカラントが入り、オールスパイスやシナモンで風味付けします。
ピラウには、日本の炊き込み御飯のように、たくさんの種類があります。何も入っていないお米とバターだけで作るサーデ(sade:プレイン)から、トマト、茄子、ショート パスタなどが入っているものもあります。また、オールスパイスやシナモン、ハーブで風味をつけて、松の実やカラントと一緒に炒め、レバーの入ったものや、 ムール貝のピラフなど、実に様々なものがあります。
上の写真でお盆に乗っているのが、ムール貝のピラウです。ムール貝の殻に入っていて、レモンをぎゅっと絞っていただきます。道ばたで売られている場合もあり、立ったまま食べ、食べた個数の代金を支払います。


私の持っている『Osmanlı Mutfağı』 (Tuğrul Şavkay, Osmanlı Mutfağı)というレシピ本には、25種類のピラウの作り方が記載されています。その中で、お米意外のピラウは5種類だけでした。

この本にも、別の『Osmanlı Mutfağı』(Yunus Emre Akkor 'Osmanlu Mutfağı〜Gelenekten Evrensel〜)にも「Sütlü Pilavı」というピラウのレシピがあります。「牛乳のピラウ」です。

作り方は、牛乳でお米を炊くだけです。しかし、炊きあがったお米をつぶさないように混ぜるのがこつだそうです。そして、そのお米の上に、お砂糖とシナモンをかけていただくと書いてあります。ストラッチ(sütlaç)という名前のデザート、ライスプディングがありますが、デザートではないのに、牛乳で炊いて砂糖をかけて食べる…。この「牛乳のピラウ」は、ヨーグルト粥より衝撃的でした。

このように、バラエティ豊富なピラウですが、一番作るのが難しいと言われているのは、やはり何も入っていない、お米とバターだけでつくるプレインなサーデピラウ(sade pilav) です。何でも、シンプルなものは、かえって難しいのだと思います。

作り方には、2種類あり、一つ目は、最初にさっと洗ったお米をバターで炒めて、その上に水を入れて、炊くという方法です。二つ目は、塩水につけて おいたお米をザルでこしてから、炒めずにバターと水を加えて炊くという作り方です。私は、いつも最初の作り方をしていました。

アルパ シェフリエが入ったピラウ
私がトルコ在中に食べていた一般的なピラウというと、お米だけでなく、お米のような形をしたアルパ シェフリエ(arpa şehriye)か、素麺を短く切ったようなテル シェフリエ( tel şehriye)というパスタが入ります。先ずそれを炒め、茶色に色づいたら、米を加えて炒めてから、水を加え、塩胡椒で味付けして炊きます。

テル シェフリエが入ったピラウ
日本に戻ってからは、日本のお米を使って、この作り方をすると、芯が残ったりパラパラにならなかったりで、うまくいきませんでした。そこで、炒めてから炊飯器で炊くことを思いつきました。こうすると、失敗せずにパラパラの美味しいピラウが出来上がります。試してみてください。



作り方はさておき、トルコで、友人宅にお呼ばれした時など、ピラウと別のおかずを、同じお皿に盛っていいのか、別々のお皿に盛るのかと聞かれることがあります。各自それぞれに、好みがあるのでしょう。細やかな気遣いだと思います。



そして、「もうパンを食べなくていいから、ピラウを食べなさい」と、よく言われていました。関西地方に、お好み焼き定食や、焼きそば定食のような炭水化物+炭水化物の定食があるように、トルコでも、ピラウがあっても、必ずテーブルにパンはあります。

何度も書いていますが、ピラウはおかずで、主食はパンです。それなので、日本だと「お米を食べないと、お腹が一杯にならない」と、よく聞きますが、トルコの友人たちは「パンを食べないと、お腹が一杯にならない」と言います。ピラウでは、お腹に溜まらないのだそうです。所変われば…。

自分の食べたい料理を選んでお皿に盛ってもらいます。これにパンがつきます。
ドネルケバブもピラウの上に乗せてもらうことができます。この店では、その上下にラヴァッシュという薄いパンで挟まれて、出されました。やはり、パンは必ずつきます。

一番上に写っている細長いのも、釜から出たばかりでホカホカのパン。
私たちには究極の食べ方としか思えない、パンにピラウを挟んで食す、ピラウのサンドイッチとでもいうべき食べ方も、ごく稀に聞いたことがあります。

でも、どのように食べても、やっぱりピラウは美味しいです。そのため、つい食べ過ぎてしまうのが、要注意なのです。

2018年2月17日土曜日

大学の食堂でのランチー〜イェメックハネと呼ばれる食堂でのメニュー〜



トルコの大学で学会がありました。

トルコは20年ほど前まで、大学といえば、ほとんどが国立大学でした。しかし、現在は、私立大学がどんどんと設立されていま す。(2016年7月15日に起こったクーデター未遂の首謀者と言われている人の作った私立大学も、たくさんありましたが、閉鎖されたり国立大学の建物になりました。今回行った学会も、その私立大学の建物が国立大学の建物になっていた所でした。)

ということで今回は、トルコの国立大学のランチを、ご紹介したいと思います。
学生たちのランチは、「Yemekhane」(イェメックハネ:食堂)や、カンティン(kantin:カフェや喫茶室のような場所)などでとることができます。先生たちも同様、先生用のイェメックハネや、先生たち専用のレストランなどで、食べることができます。

イスタンブル大学の先生専用のレストラン
この先生専用のレストランでは、以前はアルコールもありましたが、昨年行った時には、残念ながら、ソフトドリンクのみに変わっていました。

この日のメニューは、トマトスープ、季節のサラダ、鱸のグリルと、アーモンドのデザートでした。
このように、ランチにも色々な場所があります。今回は、私が行った国立大学のイェメックハネと呼ばれている食堂についてご紹介します。

では、先生も学生も、このイェメックハネで、一体どんなランチを食べているのでしょうか。

日本の大学の食堂では、色々とメニューがありますが、イェメックハネでは、給食のように、日替わりのフィックスメニューのみです。他のメニューがないので「それは少なめに」だとか「いらないわ」と言えるぐらいです。

しかし、私立大学はどうかというと、先生用のイェメックハネでは、料理は陶器に入れられていました。そして、メインもいくつかある中から、選べていました。国立大学と私立大学では、食事の予算も違うのでしょう。 

話を元に戻しましょう。
先生たちは、先ず自分のカードを機会にかざして入ります。ランチ代が加算され、給料から引かれるシステムになっています。

写真をご覧になると分かるように、4品が入るようなプレートを持って並び、順番に入れてもらいます。 ここでは、パンはテーブルの上の籠に入っていて、食べ放題でした。

順番に並んで、入れてもらいます。
しっかりとプレートを前に出さないと、入れてもらう時に、こぼれてしまいます。
学食と教員食堂ではメニューや、品数が同じだったかどうかは、記憶が定かではありませんが、かつて食べた大学の学生食堂では、料理は4品ではなく3品でした。残った一つのところには、スライスされたパンを入れたのを覚えています。

学会初日のメニューは、ミートボールの煮込み、野菜のソテー、ヨーグルトにトゥルンバと言われている、チュロスに似たお菓子でした。小麦の生地を揚げたものに、甘い蜜がたっぷりかかっています。ヨーグルトは、もちろん無糖です。

二日目のメニューは、タルハナスープ、人参と紫キャベツのサラダ、無糖ヨーグルトに、チキンがのったブルグルピラフ(挽き割り小麦のピラフ)でした。これに、たいていのトルコの人は、パンも食べます。

最後の日のランチには、ヨーグルトスープ、炒めたミンチに落し卵のオーブン焼き、オレンジと、シェケルパーレと呼ばれるデザートでした。シェケルパーレは、クッキーに、これまたたっぷりと蜜を吸わせたものです。フニャフニャの柔らかい食感で、もちろんとても甘いです。

ミントの入ったヨーグルトスープには、お米ではなく麦が入っていました。さすが、麦がたくさんとれる中央アナトリア地方(アナトリア地方とは、トルコの90%以上を占めるアジアの部分のことです)の大学です。

この日は、昼食時間の最後の方に、食べに行ったので、メイン料理のミンチ卵がたくさん残っていたのでしょう、どっさりと盛ってくれました。それを見た、先に食べに来ていた人が、自分のは半分ぐらいだったと、ブツブツつぶやいていました。

料理が足りなくなったら、どんどん作る町の食堂ではないので、その日にどのぐらいの人が食べに来るか、検討をつけながら料理をよそうにも、熟練が必要だと思いました。

毎日美味しかったです。ご馳走さまでした。