2025年12月27日土曜日

イスタンブルのお勧めシーフードレストラン フェネル ロカンタス(Fener Lokantası)

今年の9月にトルコへ行った際、トプカプ宮殿博物館学芸員の友人Ö さんと久しぶりに会うことができ、滞在最後の日は、とても素敵なサプライズになった。

イェシルキョイ灯台の下にあるFenerレストラン

Öさんの旧来の友人であるSさんが、お勧めのイスタンブルyeşilköy(イェシルキョイ)にある灯台下の素敵なシーフードレストランに連れて行ってくれた。レストランは海岸のすぐそばにあるので、ぜひ夏のお昼にも、もう一度尋ねてみたい。きっと景色が素晴らしいと思う。

上の写真に写っている灯台は、 旧称をアヤステファノス灯台と言い、マルマラ海からボスポラス海峡に入る船舶に道案内をし、イスタンブルの海上交通の安全を確保するため、スルタンアブドゥルメジドの要請により、イェシルキョイ岬に1856年にフランスの技術者によって石造りの塔として建設された。現在はイェシルキョイ灯台と呼ばれている。

レストランの中には、灯台博物館があるので、展示物を見ても楽しめる。せっかくなのでテーブルにつく前に見学させてもらった。 

他にも特別な会議やファミリーの慶次ごとにも使える個別対応のサロンがある。

自前の釜があり、魚料理には欠かせないコーンブレッドが焼き立てて提供される。

このレストランのコンセプトは自家製のオーガニック野菜を提供すること。レストランの敷地内にある畑で野菜、そして、葡萄や無花果などの果物も栽培されている。オリーブやオリーブオイルにおいては、エーゲ海にあるジュンダ島の自社栽培のオリーブだそう。香りがよく、とても美味しいオリーブオイルだった。コーンブレッドにつけていただいたが、メインディッシュの前に、食べすぎてしまった。

料理は、このレストランをよく知っているSさんのお勧め料理をいただくことにした。まずはスズキのクリームスープ。レモンを絞ると、クリーミーな中に酸味が効いてとても美味しかった。

シーフードサラダとアンコウのソテー。アンコウはトルコ語でFener balığı(フェネル バルー)。訳すと「灯台魚」になる。運んできてくれたスタッフは、Çirkin balık(ブサイクな魚)だけれど、とても美味しいと言い、サーヴしてくれた。Sさんは、Fenerレストランに来たから、Fener balığıを選んだ訳ではないだろうが…。

トルコではある種の魚を選ぶと、お好みの料理法で調理してくれる。アンコウはソテーにするのが、Sさんのお勧めだった。肉料理もそうだけれど、ソテーは写真のように浅い中華鍋のようなもので、多分そうだと思うが、調理してそのまま出てくる。かなりの油があり、油(脂)ものを気にしているÖさんには、Sさんがアンコウ自身の油だから大丈夫だと話していた。油はあん肝からかと思ったけれど、トルコであん肝を使うなんて、ちょっと考えられない。一見油っぽかったけれど、しつこさは感じられず美味しくいただいた。

かなりの量でお腹がいっぱいになった。しかし、これで終わりではなかった。

2枚に合わさったイワシの網焼きが出てきた。これがフワフワで口当たりがよく、お腹がいっぱいだと言っておきながら、ペロリと食べてしまった。網焼きの魚には、必ずルッコラーと生の玉ねぎがついてくるのもトルコ式。ルッコラーの苦味と玉ねぎのピリッとした刺激が魚の油によく合う。

最後に、魚料理の後にはお決まりのデザートのヘルヴァ(ここのはアイスクリーム入りイルミックヘルヴァス:セモリナ粉のヘルヴァ)、揚げ菓子のトゥルンバ(チュロスのような揚げ菓子を蜜につけたもの)、そしてフルーツが出てきた。食べたかったけれど、もうお腹に入る余地がなく、残念に思いながら諦めざるを得なかった。写真を見た今となれば、食べておけばよかったと悔やむ。
 
店内は光もオレンジ色の暖色系で、周りのテーブルの間隔もゆったりしていて、混み合っていたけれど、他の人の会話が聞こえず、喧騒は全く気にもならなかった。 
 

左上Öさん 左下Sさん 右下オーナーのYさん

 
食事の後にオーナー自らがテーブルに来てくださり、話に花が咲いた。オーナーは、魚料理のレシピを世界各国から集めているそうで、オスマン帝国時代のシーフードレシピがあれば手に入れたいと、トルコの食文化研究もしているÖさんに頼んでいた。私も興味があるので、見つかったら読んでみたい。
 
そんな話をしている私たちの横のテーブルに、四人の男性が座っていた。一人は高齢者で、後の三人はカジュアルな格好をした若い男性だった。四人は親戚か家族のようなだった。彼らが時々こちらを見ていたのに、私たち三人は気がついていたが、別段気にも止めていなかった。
 
隣が席を立ち、帰る間際にオーナーに挨拶をしたので、どうやらオーナーの知り合いだったらしい。彼らが去った後に、どなたなのかSさんが尋ねた。高齢の男性は、私が2000年に地方都市からイスタンブルに引っ越した時から、その名前を知っていたKaş Beyaz(カシュ べヤズ)という有名なレストランのオーナーだった。驚いた。確か、Kaş Beyazには肉料理とは別にシーフードレストランもあったと記憶しているからだ。
 
「なるほど!あのKaş Beyazのオーナーが自分の店ではなく、この店を選んで食事に来るのだから、このレストランが美味しいのはいうまでもないことだよね」と我々は納得した。
 
本当に料理もサービスもよく、落ち着いて食事のできるとてもいい雰囲気のレストランだった。機会があれば、ぜひ行ってみてほしい。