2017年10月26日木曜日

イスタンブルから〜トルコの朝ご飯・週末のブランチ編〜

トルコ語で朝ご飯はkahvaltı(カフヴァルト)と言います。 日土辞書をひくと朝食という意味に加えて「軽い食事」という意味も載っています。そのためトルコ語では「今日の晩ご飯は、朝ご飯にしよう」というような奇妙な言い方になることがあります。この場合、晩ご飯は、朝ご飯で食べるようなチーズ、オリーブ、トマトやキュウリなどの簡単なもので済まそうという意味です。

一方、トルコ語の辞書には「一般的に朝にとる軽い食事」とも記載されています。Kahvaltıは、kahve(コーヒー)+alt(下、底)からできた言葉です。朝、コーヒー(もちろんトルココーヒーです)を飲む前に、何か先に軽く食べて胃に入れておく(コーヒーが入る下に)という意味なのです。しかし、コンスタンチノープルを陥落させたメフメット2世の朝の食事は、糖質たっぷりのかなり重めのものでした。当時はまだコーヒーが宮殿に入ってきていなかったからでしょうか。(Stefanos Yerasimos 'Sultan Sofraları〜15. ve 16. Yüzyılda Osman Saray Mutfağı')

話を元に戻しましょう。日頃の慌ただしい軽めの朝食とは別に、週末になると外に出て景色のいい場所で、ゆっくりと優雅にブランチをすることがあります。ボスポラス海峡に面したバルコン(バルコニー)でとる朝食は、この上なく贅沢な時間です。イスタンブルに来てよかったと思える瞬間です。

前置きが長くなりましたが、今回のブログでは贅沢なブランチのひとときをご紹介したいと思います。 
先ずは、ボスポラス海峡沿いにあるカフェでのビュッフェスタイルのブランチです。
夏の定番フルーツ、スイカとメロンも並んでいます
逆行のために見えづらいですが、手前にはミントやイタリアンパセリが盛られています。ハーブがモリモリいただけます。 取り忘れましたが、もちろん沢山のオリーブもあります。

両端にはボレキ、中央はポテト
シリアル
右のものは、パンに卵掖を浸して油で揚げたものです。フレンチトーストのように甘くありません。レシピを調べたところ、甘くないどころか塩胡椒を入れて作られているようです。
左のものは、いろんな呼び方があるようですが、私はピシ(pişi)と教えてもらいました。生地を油で揚げた弾力のあるかなり噛み応えのある揚げパンです。小学校の給食で出た揚げてきな粉をまぶしたパンは嫌いでしたが、これは美味しいと思います。

2段に並んでいる様々なチーズ


形も味も多種多様であまりに種類が多く、初めてだと、どれを選んで食べていいのか分からないと思います。全種類食べてみて、お気に入りを見つけていただきたいのですが、塩気が強いので一度には無理だと思います。

ミニパンケーキとクッキー。パンケーキには、チョコレートソースやジャムがありましたが、メープルシロップはみあたりませんでした。クッキーには、甘いのと塩気のものがあります。

パンの種類も豊富です
白と黒の器に入っているのはカイマックというクリーム
バターと蜂蜜
トルコでは、カイマックと蜂蜜という禁断の組み合わせがあります。これをパンにつけて食べるとあまりの美味しさに食べ続けてしまい「誰か止めて!」と思わず叫んでしまうほどです。ダイエットなど考えてはいけません。

こうしてお腹が一杯になっても、その後はまだお茶を飲んでゆっくりとしています。
ビュッフェブランチは何度もおかわりに立ってしまいます
さて、次もボスポラス海峡沿いですが、今度は持ち込みができる「年輪を刻んだプラタナスの木の下〜ティーガーデン〜」という名前のカフェをご紹介します。
先ず、朝ご飯に食べるものを調達します。
これは、ボレキ屋さんで並んでいる列です。前回のブログにもボレキの写真がありましたが、ここのボレキは、コルボレーイ(kol böreği)と言います。春巻きの皮のようなユフカという薄い生地を何枚にも重ねて中にチーズ、ミンチ、ほうれん草などそれぞれを入れロール状にして焼きます。卵掖をかけて焼くボレキと違い、このコルボレーイには溶かしバターやオリーブオイルをかけて焼きます。

量り売りのコルボレーイです。好きな具のものを買います。買った物を持って、その先のカフェに行きます。

「飲み物の持ち込み禁止」と書かれています。飲み物以外は、私たちのように食べ物持参で大丈夫です。家から朝ご飯を作って持って来ている人や、私たちのように何かを買い、持って行く人もいます。もちろんここでも朝ご飯を注文して食べることもできますが、殆どの人が飲み物だけを注文していました。

 私たちは、ポテト、ミンチ、ほうれん草入りのコルボレーイを買いました。初めてみた、クルミ入りのボレキも追加しましたが、これが大正解でした。クルミなので甘いのかと思いましたが塩味で美味しかったです。


こんな手軽な場所が、日本にはどうしてないのでしょうか。
どうして日本では、ゆっくりとブランチをする習慣が根付かないのかと、残念に思います。週末には、計画を立ててどこかに遊びにいかなければならないと思うより、景色のいいところでまったりとした時間を過ごすのは、至極の幸せだと思いますが…。

2017年10月20日金曜日

イスタンブルから〜トルコの朝ご飯・家庭編〜

チーズ、オリーブ、トマトとキュウリ、ボレキ、ジャム
ブログを始めた時の最初に、トルコの朝ご飯が恋しいと書きました。(https://torukomeshi.blogspot.jp/2017/04/blog-post_62.html
普段日本では、朝ご飯には飲み物だけのことが多いのですが突然、無性にトルコの朝ご飯が食べたくなることがあります。
イスタンブル滞在中にも、たくさんの朝ご飯をいただきました。今回は、家庭での朝ご飯をご紹介したいと思います。

先ずは、軽めの朝ご飯として焼きたてのポアチャ(poğaça)があります。早朝イスタンブルに着いた日に、食べたくなりパン屋さんに買いに行きました。

ポアチャには、中身がチーズ、ポテト、オリーブやミンチなど 豊富な種類があります。また、ホットビスケットのような生地のものもあります。生地にはハーブが練り込まれて、中に白チーズが入っていることが多いです。

私は中に何も入っていないプレインなものが好きなので、それとハーブ入りのホットビスケットのようなポアチャを買いました。焼きたてのプレインのポアチャは、外はカリッとしていますが、中はふわっと柔らかいです。蜂蜜をつけて食べるととても美味しいです。ハーブ入りの方はさくさくしたテクスチャーです。こちらは、イーストが入っているプレインのポアチャの作り方とは別に、ベーキングパウダーを使っているのではないかと思います。

トルコでは、職場で朝ご飯を食べることがあります。朝、ポアチャを買っているお勤め風の人をよく見かけました。私も、朝ご飯を食べる時間がなかったときなど、ポアチャを持参していました。

スイカ、オリーブ、トマト、オムレツ、バター、ジャム
ここからは、いろんな家庭でいただいた朝ご飯をご紹介します。
トルコの朝ご飯に欠かせないものは、チーズ(白チーズ)とオリーブです。そしてもちろんチャイ(çay:紅茶)とパン! 普通はエクメック(ekmek:バタールのような大きさのシンプルなパン)が食卓に上がりますが、上の写真に写っているのは、ラヴァシュ(lavaş)という薄焼きのトルティーヤのようなパンです。これにチーズや具を入れて巻いて食べます。

オリーブも黒いのや緑の物があります。写真のものは、一つずつ砕いて割れ目をいれたグリーンオリーブの塩漬けを使ったものです。塩抜きしたオリーブにトマトとニンニクのみじん切りを入れ、パプリカのペーストを少し加えてオリーブオイルをかけています。このオリーブオイルにパンをつけると、とても美味しいので、ついつい食べ過ぎてしまいます。

チーズ、トマトとキュウリ、ゆで卵、オリーブ、ボレキ
滞在先の友人の子供は、朝ご飯にはパンにクリームチーズとブラックオリーブのペーストを塗ったものしか食べません。毎日飽きずに同じです。

この日の朝ご飯にはゆで卵がありました。ゆで卵の上には、クミンとパプリカパウダーなどのスパイスがかかっています。塩胡椒だけの日本のゆで卵の食べ方とは違います。

これは、私が以前イスタンブルに住んでいたときのご近所さんの家に、今回泊めてもらいご馳走になった朝ご飯です。トマトとキュウリの上には、ミントがあります。飾りではなく、一緒に食べます。ホテルの朝食ビュッフェなどには、ミントもイタリアンパセリも葉が軸についたままの状態で出されています。

トルコでは、このようにバルコニーでご飯を食べることがよくあります。日本での、洗濯物干場としてだけ使われているバルコニーとは大違いです。外を眺めながらいただく朝ご飯は、格別です。
チーズ、オリーブ、トマトとキュウリとミント、バター、蜂蜜
このご近所さんは、以前両親がイスタンブルにやって来た時、朝ご飯に招待してくれました。日本では、ランチや夕食に招待されることはあっても、朝ご飯に招待される事は、殆どないので、両親は「どうして朝ご飯?」と驚いていました。でも、トルコでは親しい人を朝ご飯に招待することがよくあります。

チーズ、オリーブ、トマトとキュウリ、イチジク、バター、ジャム
ボレキ
朝ご飯によく登場するものに、ユフカ(yufka)という小麦粉の生地を薄くて丸い形に伸ばした春巻きの皮のようなもので作ったボレキ(börek)があります。一番上の写真にも、ご近所さんでいただいたのにも、上の写真にもボレキがあります。このユフカを何枚もオーブンの天板の上に重ねて作ったもの、一枚を使いロール状にしたもの、揚げたものなど形や作り方もいろいろあります。

チーズ、オリーブ、トマトとキュウリとシシトウ、生クルミ、ジャム
9月には、生のクルミが出回ります。まだローストしていないので、薄皮も簡単に剥けます。噛んでもあまり油を感じないため、いくつでも口に運んでしまいます。美味しいからといって食べ過ぎると、お腹を壊すと言われました。

チーズ、オリーブ、バター、トマトとキュウリ、マッシュルームオムレツ
朝ご飯に時々登場するのがオムレツです。ジャガイモを薄く切り油でカリッと揚げたもので作るオムレツは美味しいです。でも、私たちがオムレツと言えば想像する楕円形で、ふんわりとしていて中身がとろっとでてくるオムレツではありません。卵にしっかりと火が通り、フライパン一面に焼かれたクレープのような丸いオムレツです。

今回載せた写真をご覧になり、お気づきになったかもしれませんが、トルコでは食事の際には食事用のテーブルクロスをかけます。イスタンブルでは、下町に住んでいたので食事が終ると、パン屑などをはらうために、窓からテーブルクロスを出してはたいている光景を昔は何度も目撃したものでした。懐かしいです。

一般家庭の朝ご飯の紹介と共に、昔の思い出がよみがえってきました。
では次回は、週末の外でのブランチをお伝えしたいと思います。